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◆その他国内の作家さんの作品の感想文
ミステリタウンさんに書き込んでいるものをバックアップ代わりにupしています。
「生き過ぎた」という言葉を遺して自殺した日本洋画界の大御所の遺作の修復のため、
彼の自宅に出入りするようになった成美。
過去に彼女の元から彼の弟子になるといって去っていったかつての恋人が、
自殺をするまでのどんないきさつがあったのかということに、
彼女はやがて疑問を抱くようになる・・・。成美の恋人であった男の死を認めたくないという気持ちや、 自殺でなく誰かの手によるものだと思いたい気持ち、 それらが何度もお話の中に出てくる「彼の作品を世に出したい」というものと同様に強かったんだろうな、 という感想です。 もちろんどんな理由であれ、隠された真実を暴くというお話の流れにおいてはかまわないものだと思うのですが。 ただ、だんだんと事実が明らかになっていく過程が今ひとつ、 私には歯がゆく感じられたといいますか。 成美の推理が何度か見事なまでにくつがえされて、いらいらしてしまいました。 真相は私が想像したものよりも明らかに衝撃的なものでしたが、 俗っぽさという点では少し私には遠く感じられ、 非日常的すぎて感情移入が難しいお話だったように思います。 もちろん、これは個人的な問題でしょうが。 ▲タイトル一覧にもどる
未完の原稿「聖域」をある偶然から目にし、その魅力のとりこになった編集者が、
完成させるべく作者の女性を探し始める。やがて彼女が不思議な力を持ち、
その力によって彼女と彼女の作品に関わった者が謎の死に導いたのかも知れないという事が判明していく。「イタコ」がテーマの1つになっていますが、私はそういう不思議な、 でもあってもおかしくない能力については否定はしないので、 先入観なしに読むことが出来ました。そういう少しおどろおどろしい部分だけではなく、 ちゃんと編集者である彼自身の生きていく様や彼女が巻き込まれた新興宗教団体の事など、 現実的な側面からも描かれていたので途中で嫌になることもなく、 それどころか本当にこの作品が完成されるのかどうか? という事が知りたくてページを繰っていきました。結末はさて、読んでのお楽しみです。 ▲タイトル一覧にもどる
直木賞の受賞作になったこの作品、読まれている方もきっと多いのではないかと思います。
私自身、直木賞は誰の何が受賞した等々の情報に疎いこともあり、
ミステリに傾倒しだしたのがまだここ近年ということもあり、
何の予備知識もないままにこの本を購入して読みました。ストーリーは同じ会社に属していた女性5人のそれぞれの道をそれぞれの視点から描いているものなのですが、 本当にそれぞれで、ありがちな、でも共感できる部分が満載で非常に楽しめました。 妙齢をとうに過ぎた私も、最年長の康子のようにしっかり頑張りたい、と励まされました! ▲タイトル一覧にもどる
文庫版あとがきでご本人が述べられている通り、
「恐怖小説」か「幻想小説」かというような短編集です。
私は後者かなという気がしますが。私は幻想的なものよりも実は現実的な人間臭いミステリーが好きなので、
理屈で上手く説明のつかないオチというのは、正直なところあまり好みません。ですがこの短編集の最後に収められている「内助」だけは違いまして、 夢破れて自立に向けて再出発を誓う女が描かれているのです。 これまたあとがきでご本人も書かれていますが、 本を閉じて現実に戻っていく読者に向けたメッセージともとれます。元気が出る作品です。 ▲タイトル一覧にもどる
波乱の人生を送ったといわれる女流画家が死の直前に描いたという謎の多い絵をめぐって、
女性イラストレーターと人気作家がお互いを意識するようになりながらその謎に迫っていくというストーリー。朱鷺という鳥がこんなにも恐ろしい面を本来持っていたというのがまず衝撃であったし、 そういうところから凄まじいまでのストーリーを作り出していく篠田さんにも驚き。 とても「女たちのジハード」を書かれた方と同じとは思えません。 朱鷺との二人の対決のシーンはページをめくるのが恐ろしく、 でも結末にたどり着きたいという欲求を押さえきれず・・・葛藤でした。 ▲タイトル一覧にもどる
美しい糸を吐く蚕を発見した男がそれを増殖させて一儲けしようと画策し、
やがて少しの不注意からその蚕の恐ろしい習性による被害が人間に向けられるようになり、
町中がパニックに陥る。以前にもパニック小説と呼ばれる類の篠田さんの作品は読んでいましたが、 テーマが違うとはいえ今度は生き物・・・しかも姿はとても不気味な蚕です。 とてむむずがゆい気持ちになりながら読み、人間がいわゆる生態系を操作、 かく乱させていることへの危惧を感じました。 蚕のみならず他のあらゆる産業で行われていると思うのですが、 この作品のようにならないことを心から祈っています。 ▲タイトル一覧にもどる
これも短編集です。これは、怖かった!しょっぱなの「幻の穀物危機」では、
「夏の災厄」に通じるようなパニック小説の「背筋から這い上がる現実的な恐怖」が感じられて、
怖いから読むのをやめようと思いつつも、次がどうなるのやらとページを次々とめくってしまう自分がいて・・。
どんどん本を買ってしまって、読まなければという強迫観念にも似たような気持ちで本を開くこともありますが、
この本では本来の「面白いから読む」というのを思い出すことが出来たように思います。
これは割合に最近の作品ですね。篠田さんにはこういった方面でどんどん頑張っていただきたいと思います。
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遭難して生きていないことが必至の仲間を探すためにもぐった地底湖で、
正人は不思議な生物を目撃し、やがて触れ合うようにもなる。
彼は「彼女」を救うために奔走するが・・。まず現実的に考えてありえないんじゃないかな〜、というお話でしたが、 考えられないことではありません。 水没した鍾乳洞の中で繁殖の可能性もなくただ絶滅するのを待つばかりの、 不思議な力をもった生物に夢を託した若者・・・私に夢がなさすぎるのか、 お話を読んでいる最中は確かに引き込まれ、 流れがどうなっていくのか息をのんで見ている感じではありました。 ですが、うーむ。相対的に見ていまひとつ感情移入が難しい作品かなと。 ▲タイトル一覧にもどる
声楽家を夢見ていた美しい人気女流作家が急逝。実業家の夫と二人の子供、
そして恋人と恵まれた彼女だが、自分の作品が5年しかもたないと言い残していたという。
彼女の評伝を書くことになったライターの女性はその謎を解明するべく活動し、
やがてその作家の真実を知る・・・・。実際にありえない話ではないだろうと思いながら読んでいました。 私自身好きな作家に女性が多く自分も女性であることから、 その実態を多少想像したりすることもあります。 ですが、ある種夢を見させてもらえるのであれば嘘もいとわないところがファンにはあるはずで、 そのあたりの現実を実にうまく描いて下さっていたなぁと思いました。 もちろん、この話で描かれていた事が「作家の現実」かどうかはわかりませんが。 ▲タイトル一覧にもどる
美容整形を施した女性のなんと表現したらよいか困るような悲しいその後と、
最後のどんでん返しが非常に印象に残った作品です。女にとって外見は大事なものです。 それが全てという考えも全く間違っているとは思いません。 ですが新しく手に入れた顔(仮面)を自分自身が受け入れられず、 整形を受ける前からずっとくすぶり続けていた満たされない気持ちで生きている麗子には、 目をそむけたくなるような惨めさがありました。 好きになった男にも人形であることを求められ、悲しすぎました。 今度こそ彼女自身を本当に愛してくれる人が現れることを、 ラストで願わずにはいられませんでした。 ▲タイトル一覧にもどる
第10回山本周五郎賞受賞作。裕福な農家の跡取りである男が業者を通じてネパール人女性と結婚。
その後男は両親や財産、全てを失うことになる。とても長いお話だったのですが途中で中だるみは感じず、 むしろ次は一体何が起こるんだろう?という「怖いもの見たさ」でページを繰りました。 読んでいくうち、男の気持ちの変化とともに理想ではあるだろうが、 という前置きは打ち消せないものの、 こちらも何か人生の原点に立ち返る事が出来たように思いました。 ホラーやミステリーとは一線を画していると思いますが、 篠田さんの作品の中でも特に感銘を受けました。 ▲タイトル一覧にもどる
私的に、この作品とか「死神」「家鳴り」あたりが
「ああ、この人の作品好きだなあ」と思えるレベルだなと思います。
幻想的とはいえども現実離れしすぎておらず、ホラーというよりはミステリーの範疇におさまっていて。
中でも「コンクリートの巣」などは、篠田さんらしい(何をもって『らしい』と思うのか根拠はないですが・・・)
後味の少々悪いものは残しながらも、その実すかっとするもので良かったです。
(すかっとする私も私ですが・・なにしろわが子を虐待していた母が、
そのわが子からの電話を高速運転中に受けたことが原因になって、事故死するのですから)
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市の福祉事務所に勤めるケースワーカー達の目を通して描かれる、
それぞれの遭遇した事件をとりあげる短編集です。これ、大変面白く読ませていただいて、あっという間に一冊終わりました。 ケースワーカーのお仕事とか、自分が生活保護を受けるということにも今のところは縁が無いし、 ひとごととして読むから良いのかもしれませんが。 一番「ひえ〜」と思ったのは「花道」。常に人のおこぼれや陳情にあずかって生きるような、 私が嫌うというよりはもっとも寒気のするタイプの女性が出てきます。 自立してないことが悪いという気はありませんが、 本当にこういう人がうじゃうじゃいるんだとしたら、私には絶対にこのお仕事出来ませんねえ。 ▲タイトル一覧にもどる
久しぶりに篠田さんの作品を手にしてみました。
ずい分前に購入してから長いこと放置してしまっていた中の一冊です。学生時代、一夏のたった2週間を共にした恋人と呼べるのかどうかもわからない男が40才を目前に自殺し、 死の瞬間を迎えるまで弾いていたというカノンのテープが瑞穂に手渡されます。 それから瑞穂の周囲では次々と不可解な出来事が起こるようになります。 深夜に一気に読んでしまったので、不可解な(どちらかというと怪談系の)出来事を読んでからトイレに行くのが怖くなったくらいなのですが、 40というのは何か節目のようなものなのでしょうか? 私の友人の義兄も今年40を目前に自らの命を断ったので、 カノンを通して彼が瑞穂に伝えたかったことが何なのか・・・ということよりも、 その偶然に驚きました。 テープをきっかけに、瑞穂だけではなくもう一人の友人・小田嶋もまた、 自らの人生の転機を感じとり行動に移していくわけですが、 自分に正直に生きることと周囲の人間を巻き込むことは比例しているのだなあと、 間抜けなことを感じました。 ▲タイトル一覧にもどる
東京郊外ののどかな町に、日本脳炎とみられる症状の患者が大発生。
市の保健センターの職員達は市民と行政のシステムの狭間に立ち、
右往左往しながらもその症状に疑問を持ち、独自の調査を開始するうちに真実を突き止める。ウイルスの蔓延によって小さな町がパニックに陥る様子が手に取るように伝わるし、 市の職員としてごく平凡な日々を送っていたはずの「小西」や、 保健センターの看護婦「房代」、予防接種反対派だった医師「鵜川」が主になってお話が進んでいきました。 最初はバラバラだった保健センターの職員達が、 やがてその原因不明のウィルスに立ち向かうためにそれぞれの思惑を押し殺して団結していく過程は、 長かったですがなかなか読み応えがありました。 感じたのはありきたりではありますが、行政の煩雑なシステムは誓い将来本当にこんな疫病が流行した時に、 このお話のように「なんとかなる」のだろうか?という危機感でした。 篠田さんはシステムへの警鐘の意味をこめてこのお話を書かれたのかどうかはわかりませんが、 今まで読んだ彼女の作品の中で、一番感情移入できた作品でした。 ▲タイトル一覧にもどる
中谷美紀さんが出演されたドラマを見てはいなかったのですが、
この作品のだいたいのあらすじは知っていて、
ハードカバーを購入して「いつか読もう」とあたためていました。実際に読むと曖昧にとらえていたあらすじとは全く違う裏側と、 音楽的な事は全くわからない私にも、 この作品を通じて中谷さんが演じられた由希という少女、 そして彼女に表現させようとした東野青年の命を賭けた闘いの壮絶さは伝わりました。 ▲タイトル一覧にもどる
十二指腸潰瘍の手術を終えた患者が、「長い廊下」を病室に向けて搬送される途中で容態が急変し、
死亡に至った。麻酔を担当した窪島は、自らの処置の正しさを証明するために調査を開始、
やがて恐るべき真相が明るみになる。ずいぶん前に一度読んだことがあったのですが手放し、
今回本屋さんで見かけてすぐに買いました。前に読んだ大まかな内容は覚えていたのですが、
それでもまた新鮮な気持ちで読み返し、
最終的に真相がわかった時は初めて読んだ時のような衝撃を感じました。医学の世界のことはわからないのですが、素人にも非常にわかりやすく、 「〜〜なんだろうな」と言う認識は持つことができました。 ラストは、はっきりと窪島とちづるが今後どうなるのかを描いていないところが良かったと思います。 硬いだけのお話じゃなかったんだな〜と。 ▲タイトル一覧にもどる
撲滅したと言われている狂犬病がある離島で発病し、
白い野良犬に咬まれたことが原因と特定される。
事件の解明に乗り出す島でたった一人の医師である窪島は、
「白く長い廊下」の事件をきっかけに離島にやってきた・・・つまり続編になります。
とはいっても、医療がテーマになっているという共通点だけで、
恋人である女性が出てくる以外はほぼ前作の影響はなく1つの独立したストーリーとして楽しめました。
離島、台風(船が出せない)、伝染病とくればそれはもうパニックになることは必須で、
これらの対策を必死になって行う窪島をひたすら応援しました。
この事件の背景は個人的な恨みからでしたが、
いわゆる生物兵器的な利用のされ方には背筋が凍る思いがしました。
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今さらかー?と野次が聞こえそうな気もしますが、
私はずっとこの作品が読みたくて仕方ないと思いつつ、
なかなか購入する機会にも恵まれませんでした。どんなストーリーなのかもほとんど知らず、
ただタイトルがいいなぁ、と。結果どうだったのか?というと、うーん、
どうなのかな〜という感想です。(おいおい)江戸川乱歩賞と直木賞のダブル受賞ということが、
どんなすごいことなのかがあまりピンと来ない私だからでしょうか。
いわゆるテロリストであるというレッテルを否定せず、親友のために逃げつづけてきた男と、
様々な悲惨な体験を経て、本当のテロリストになった(?)男と・・・
私の頭の回転ではついていけないようなスピードで話が展開してしまったので、
ついていけないということはなかったのですが、
ちょっとスムーズすぎるかな〜?という気持ちになったりもしまして。ひねくれてますかね。
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ハードカバーの帯に「山村美紗さんに本書を捧げる」とあります(画像は文庫版)。西村京太郎さんと山村美紗さんの関係は、
お二方のファンならずとも有名なものだったのかもしれませんが、
私はサッパリわかりませんでした。
小説家のプライバシーは作品にあまり関係ないかなぁと思うところもあったし、
実際は関係大有りなのでしょうが、興味がなかったし。
今回のこの小説は、美紗さんと西村さんをモデルに、
名前をかえてフィクションとして書かれたと伺ってますが、
どこまでが真実なのかという追及は別にして、美紗さんが気性の激しい、
でもとても人情の厚い、素晴らしい女性、
小説家であったんだということがわかって嬉しかったです。
これからも、彼女の作風への世間の評価がどの程度なのかというのは意識せず、
支持していきたいと思います。
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新宿の職安前にある「託老所」を舞台に起こる入所者の自殺事件。
新しい入所者やマスコミの人間などが探ろうとするがその結末は悲しくもほっとするような、
ぞっとするような・・・。
高齢化社会への警鐘とでも書いてしまえば一応のかっこうはつくのかもしれませんが、
私の祖母も一時宇宙人のようになったことがあったので
(今も耳が遠いことにして見て見ぬふり気味・・あわわわ)、考えさせられました。
実際にこんなことがあったらもちろん厄介なんですが、
お年寄り達がいつも言う「家族に迷惑をかけずに死にたい」という言葉の意味そのまんまの話です。
実際に起こった時にそれを咎めることは私には出来ないかもしれません。
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