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◆小池真理子さんの作品の感想文
ミステリタウンさんに書き込んでいるものをバックアップ代わりにupしています。
原題『月狂ひ』が文庫化にあたって改題されたもの。
許されない恋をして自殺という道を選んだ母の記憶と影をまとって生きる46才の千津。
自らも既婚者でありながら母と同じ轍を踏み、その果てに怯える。ミステリーというよりも恋愛・官能系なのですが、とりあえず感想を残しておきたいので書きます。 私は独身者なので千津と同じ視点での見方ができませんが、 恋というものが年齢に関わりなくある日突然落ちるものであるという「理屈」は 少しはわかるつもりです。しかし激情という感情はまだわからないような気がします。 それがわからないと、この作品は読めても理解に少し苦しむかもしれないなと感じました。 ▲小池真理子さんの作品一覧にもどる
両親が亡くなって売却が決まり解体した実家の物置の床下から、女性の白骨死体が見つかった。
真吾と早紀子の兄妹は25年前に実家に出入りしていたある女性を思い出し、
真実が明るみになることを恐れる。 恐れるのが1人でなく2人の兄妹だったこと、それぞれが同じ女性のことを考えているのに 微妙に焦点が違うことを最初は面白いと思いましたが、 このストーリーの面白さはそこではありませんでした。誰の家庭に起こりうるかも・・ と思わせられる過去の記憶と勘違い。 実際の刑事がどの程度のしつこさを見せるものなのかはわかりませんが、色々な意味で楽しめました。 ▲小池真理子さんの作品一覧にもどる
木口木版画家で親子ほども年の離れた夫と暮らす紗江の元に現れた、弟子志望の青年・東吾。
夫が急逝し2人は強く求め合うが、夫の残した仕事を完成させた後東吾は紗江の前から姿を消す。小池さんの作品にはよく出てくる(ような気がする)、 1970年前後のいわゆる学生運動世代の物語・・という印象です。 私はその時代を生きていないので、頭ではわかる気がしても実はあまりぴんときていません。 東吾が姿を消した事情というのも、作中で東吾が紗江に嘘をつかなければ誰もが見当がついたもので、 そのあたりは実はもっと驚かせてくれるのじゃないかと期待もしていたのですが・・・。 ▲小池真理子さんの作品一覧にもどる
「鬼灯」「ロマンス」「首」「夏祭り」「彼方へ」と表題作の6篇からなる短篇集。
なんと形容していいかわかりません、私にとっては不思議な世界が広がっているという印象の作品。
もちろんミステリーやホラーの要素も十分に入っているのですが、
小池さんが料理すると不思議な色になる・・そういう見本市のような。
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どれもこれも怖い!5編からなる短篇集ですが、乃南アサさんでいうならば
「夜離れ」とか「幸せになりたい」「来なけりゃいいのに」といったあたりのイメージに似たものが見つけられるでしょうか。私は「贅肉」という大胆なタイトルにひかれて、あらすじもよく確かめずに小池さんの作品だというだけで買ってきたのですが、 彼女の作品に今のところはずれという感想を抱いたことがありません。 この表題作の「贅肉」、人間が絶望感を味わったなれの果てという印象が私の中に刻み込まれてしまい、 この妹の次に贅肉をたっぷりと蓄えるのはもしかして自分になるのかもしれない、 などと夢のようなことも想像してしまうくらいに、 すっかりお話の中に引き込まれてしまいました。 ラストに収録された「どうにかなる」は身寄りのない老女の悲しい生活を描いています。 自分が将来老いてこの主人公と同じ境遇にあって ここまでできるかどうかというと今の時点ではNOですが、先のことはわかりません。 余談ですが、中公文庫のフォントの大きさは少し大きめなのでとても読みやすくて好きです。 ▲小池真理子さんの作品一覧にもどる
この本を沢山の未読本の中から取り出した理由ですが、
新津きよみさんが解説を書かれているから買ったというのに加え、
それならなおさら早いうちに読んでおこうではないかというものです。
やはり深い意味はなく(笑)長編かと思いきや、短篇集です。小池さんの短篇集を読むのはちょっと久しぶりなので、 すさまじい長編の後だけにその感覚をすっかり忘れてしまっていたのですが、 普通に暮らしている人が一つ階段を踏み外したことがきっかけであったり、 少しだけ普通と違う部分を持っていたりしたことがきっかけになって起こってしまう悲劇の数々が描かれていました。 どれもこれも怖いのに、妙にスマートな仕上がりになっているんですよね。 こういう「さわやか」とはいえないまでも、不快感は伴わないミステリを書ける小池さんって、 やっぱり素敵だなと思います。 ▲小池真理子さんの作品一覧にもどる
6篇からなる短編集。小池さんらしいよく作られた「こわ〜いお話」ばかりです。私が印象に残ったのは表題作もそうなんですが、「春日狂乱」。 お嬢様の世間知らずさを利用してお金を貢がせていた男に女は純粋に男のためにと突っ走り、 犯罪に手を染めてなおその事の重大さに気づかない。 本当にそんなケースもあるのかも知れないと思わせられました。 ▲小池真理子さんの作品一覧にもどる
偶然に偶然が重なり、そこに一人の異常者の恐ろしい妄想・計画も手伝って、
単に近所で起こったというだけの全く別物だったはずの二つの事件がつながります。
一人の留学生がペットの死骸と共に日本に持ち帰ってしまったペスト菌。
人気素人キャスターを誘拐し異常な形で自分のものにしようとした男が全くの偶然からペスト菌に感染し、
そのことにたどりついたキャスター・千春の周囲の人間たちが彼女を救出するまでの長い長いドラマです。ペスト菌によって翻弄される世間の喧騒に、 読者である私までまるで感染の危険にさらされているような気持ちになって怯えてしまいましたが、 やがて千春が救出され、 ペスト菌への感染もないとわかってそれで終わりなのでなく冷めかけていた千春と夫の関係が事件をきっかけにいい形で修復されていくことも非常に興味深かったと思います。 千春を誘拐した男は死に至ってしまいましたが、基本的にはハッピーエンドな形でほっとしました。 ▲小池真理子さんの作品一覧にもどる
心理サスペンス半分、ホラー半分といった印象の短篇集です。
4編収録されていますが、
どれも短篇というよりは中篇といってもいいくらいにちゃんとストーリーが組み立てられているなぁという感じ。表題作の「うわさ」は私にはいまひとつだったのですが (ラストの意味がちょっとわからなかった・・・。小池ファンならこのくらい、 説明されなくともわかるのが当然なのでしょうか?)、 冒頭の「独楽の回転」はおもしろかった!麻子が日に日に追い詰められ、夫を殺めたいと思い、 思いがけないチャンスに嬉々として殺害を実行するまでの心理は、 現実離れはしているものの十二分に理解ができ、感情移入までしてしまいました。 だんだんに小池さんにはまっていく予感がします。 ▲小池真理子さんの作品一覧にもどる
直木賞受賞作です。小池さんの代表作(多分?)です。
それなのにその分厚さゆえに(またかいなー)なかなか手をつけられることもなく、
私の手元に揃った小池さんの本の中では、比較的後に読むことになってしまいました。あらすじなどは読まれた方も多いのでしょうから省略しますが、 これを読んで私が感じたのは「私の好むタイプの小説とは異なる」ということでした。 決して嫌いというのとは違います。 ですが、この主人公が人生を変えることになった「恋」への傾倒の過程、 そしてそれそのものが私にはどうしても理解ができなかったのです。 これが解らないことにはこのお話を語ることはできませんものね。 ただこれが優れた文学作品なのだろうということはわかりました。 小池さんには色んな面があって、非常に魅力的な作家さんです。 これからも沢山素敵な作品を書いて欲しいと思います。 ▲小池真理子さんの作品一覧にもどる
これは・・・・めちゃめちゃ怖かったです!純粋なオチなしのホラーというんでしょうか。
新築・格安のマンションを購入して移り住んだ一家は、
広大な墓地に囲まれているという条件に目をつぶることにしたわけですが、
次々と起こる奇怪な事件にいよいよ転居を決心するんです。
そこからさらに・・・・ギャーー!!ありがちなお話といえばそうなのかもしれないし、 ホラーを読みなれてらっしゃる方には怖くもなんともないお話なのかもしれないですが、 相手の実態がつかめそうでつかめず、 結局ラストまできちんとした説明のなされないままだった超常現象の正体。 一家がどうなったのかも気になるところです。 解説を読むと、小池真理子さんは他にもこういったホラー色の濃いものを書かれているとのこと。 是非追いかけてみたいと思わせられた一編でした! ▲小池真理子さんの作品一覧にもどる
交通事故で半身不随になった夫の親友で、夫をそんな状態にした原因を作り、
現在は身の回りの世話をする新吾。
鮎子と新吾が人目を忍んで逢瀬を続ける関係になり、それを以前の家政婦に目撃され、
金銭を口封じに要求されたことによって二人は・・・・?一口に言ってしまえばありがちなパターンではありますが、 今までに沢山読んだこのパターンのお話の中で、性的不能になった夫を持つ妻の性生活の現実 ・・というところを惜しげもなく言葉にしたものというのは、 少なかったような気がしています。 もちろん、その心理をどこかから借りてきた言葉でさらっと説明したものはありましたが、 正直にあからさまに、鮎子の多分同じ立場の女性の言葉とも思える感情の表現が、 全く立場の違う私にも体の奥を疼かせるような、そんなパワーをもって響いてきたように思います。 ラストが一体、具体的にどうなったのかをぼかしているのも上手いなぁと。 想像力が貧困な私には悔しい。 ▲小池真理子さんの作品一覧にもどる
いくつか続けて短篇集を読んできて、
もちろん小池さんの作品は面白いしもっともっと読んでいきたいと思うんですが、
短篇集というものが「あるコンセプトによって綴られた」ものではないのではないか、
単に短篇がたまってきたからまとめてみた、というだけなのではないかという風に思っていました。
もちろんそれは悪いことでもなんでもないし、寄せ集め大いに結構なのですが、今ひとつ統一感らしきものがないかなぁ・・・と偉そうにも思っておりまして。
でもこの「追いつめられて」を読んで考えはがらっと変わりました。 今回収録されているものは「段取り通りにいかなくってどんでん返し」な、 あっと言わされた作品ばかりだったんです。 短篇を読んでいると大体の結末は予想しながら進めていくものですが、 見事に全編で裏切られてしまいました。 ただ、その結末はどちらかというと悲劇的なものばかりだったので、 面白かったとのーてんきに喜べるものでもないような気も少々しましたが。 「悪者は誰?」は、せめて未遂に終わって欲しかったですねえ(汗) 小池さんったら容赦ないわ(汗) ▲小池真理子さんの作品一覧にもどる
背中がぞっとするような「ひゃあ〜〜」な短篇集です。
ここに収録されているのは6編でしたが、どれもこれもがまあ、
よくぞここまでラストの「あっ!!」というオチまでしっかり濃いものにしたなあと感心させられるほどの怖さでした。
特に「甘いキスの果て」では、 愛人に別れを要求した女がこともあろうに手切れ金を寄越せと言われ、 弁護士を通して話をしてきたことからどんどんとおかしな方向に行ってしまい、 金策尽きた女がとった最後の行動にタイミング悪くオチがつくという。 「あーーーッ!」と目を覆ってしまいました。こういうアイディアが次々と浮かぶのか、 それとも相当頭を抱えてうんうんと唸りながら一編一編仕上げるのか、 一度小池さんの執筆状況を影からのぞき見してみたい衝動にかられます。 ▲小池真理子さんの作品一覧にもどる
単純な間違いが最初からわかっていながら、
それは読者にだけでお話の中の登場人物たちは自分が勘違いをしているなんてことに気づかずに、
どんどん追いつめられていってしまう歯がゆさを味わいました。
本当に単純すぎて笑ってしまうのですが、事態は笑い飛ばせるようなものでもなくて。
いくつもの偶然が重なって抜き差しならない状態にまでことは進んでしまうのですが、
どうなってしまうんだろう?とハラハラさせられたあげく、
その勘違いに気づいた当の本人は事故で死に、事の顛末はオクラ入りになり、
追いつめられていた方はハッピーエンド・・・。少々かわいそうな気はしましたが、
あっけないとも感じる終わり方がかえって小池さんらしくてスマートで良かったんじゃないかなと思います。
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こんな話ってありかーーー??と、笑ってしまうというのでなく、
全くもって信じられないと嘆きたくなるほどに悲惨で悲しく哀れなお話。
田舎の両親から持ち込まれたお見合いを破談にするべく自らの素行調査を興信所に依頼した寿々子が、
恋人と共に遊びに行ったディスコで爆発事故に遭い、命からがら助け出されたものの、
爆発寸前に取り違えられたコートのせいで他人と間違われ、失語症にはなる、
顔に大火傷を負って整形手術を施され別人の顔になる、
恋人も助かってはいたが記憶喪失になっている、
踏んだり蹴ったりというのはこのことではないでしょうか。そんなに分厚い本ではないのですが、この本を開いている間じゅう、 ずっと私は寿々子の心情・・・はがゆさや悲しみや恐怖を思ってずっと落ち着けなかったように思います。 早く彼女に平穏な幸せな時間を与えてやって、と願っていました。 でも、最後にはさらなる不幸が彼女を襲います・・・。とにもかくにも悲しいの一言に尽きます。 ▲小池真理子さんの作品一覧にもどる
アメリカを舞台にして繰り広げられるショート・ミステリー20編。当たり前ですが登場人物がみんなカタカナなので、 なんだか翻訳小説でも読んでいるかのような錯覚に陥りました。 人物同士の会話もいかにも翻訳チックで軽いというか、 そういう意味ではほとんど海外の小説を読んだことのない私にまで「それっぽい」と思わせた、 小池さんが素晴らしいということになるでしょうか。 非常に短いお話ばかりなので、 今始まったと思ったらすぐにオチになってしまいお話が終わってしまっているのです。 あっという間なのに、無理やり終わらせたというふうに感じることはなく、とても上手いです。 はっきり言って面白かった。 小池さんはあとがきで「しんどかった」ようなことを書かれていたのでこんな要望は迷惑なだけかと思いますが、 また是非こういう感じの短篇集を出してもらいたいですねー。 ▲小池真理子さんの作品一覧にもどる
十七歳で体を売ったことがある・・という野乃の告白から始まる「恋愛小説」。偶然知り合った美しいエマという女性の自宅に転がり込み、エマのボーイフレンド達と 次々に関係するうち、晋平という男性に出会い野乃は変わる・・・。 私は恋愛小説というジャンルはよくわからないし、正直なところ苦手なので いつにも増して立派な感想は書けませんが、いわゆるエロティシズムというものが 理解できない私にもこの作品の魔力のようなものがおぼろげに見えるような気が します。 物語は野乃の回想という形で記述されていますが、エマが数多くの男と関わった末に 結局秘書のようにひっそりと彼女に寄り添っていた佐伯と結婚したことには 嬉しくなりました。 小池さんの小説に出てくる女性はいつも美しいです。小説ってこうじゃなくちゃなあ、 と思わせてくれます。 ▲小池真理子さんの作品一覧にもどる ▲[ゴーゴー!N'sミステリー]TOPにもどる Copyright 2001-2004 (C)ひろみん All rights reserved. |