◆乃南アサさんの作品の感想文
このサイトの管理人ひろみんが読んだ作品について、ネタバレも時々しつつ 率直に感じたことを書いています。ミステリのマニアではないので、 素人の視点での稚拙な内容になっています。

Amazonで購入出来ます 富山市郊外にある施設「ピープルハウス・はぐれ雲」は、色々な問題を抱え込んだ 青少年たちを預かリ、ひとつ屋根の下で暮らすことにより立ち直らせるために運営されている。 非行に走ってドロップアウトした子供たちの心理や、それを直そうとする主人夫婦などの 姿勢を記録したドキュメンタリー。

これは「風紋」に続く私の「乃南さんの一押し」。ドキュメンタリーということで ミステリーではないから、推理小説しか読まない方には強くはおすすめできないですが。
非行というものに走りそのまま抜け出せなくなる子供の気持ちを、半分走りかけたところで 立ち止まって戻ってきた私には少しだけ理解ができるような気がしています。はぐれ雲に 関わる実にたくさんの人のことを丁寧に書いているな、と感心しながら読ませてもらいました。 ちょっと切ないような、さわやかな気持ちを味わいたい方は是非読んで欲しいです。
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Amazonで購入出来ます 深夜のファミリーレストランで突然男が炎上。ベルトに仕掛けられた時限発火装置に よるものだった。数日後にはベイエリアで動物にかみ殺されたらしき死体が発見される。 二つの殺人事件を追う警視庁機動捜査隊の刑事・音道貴子の前に現れた野獣とは・・・?

この作品はなんといっても直木賞受賞作ということで、乃南さんの代表作として 著者紹介欄などにも数多く登場しているので、読んだことがある方はもちろんのこと、 タイトルだけでもご存知の方も多いと思います。
私にとっては、「大好きな乃南さんの作品のひとつ」にすぎない・・・と言うと このお話の評価を下げているように聞こえますが、そうではありません。むしろ 乃南さんの著書の中で初めて「場所をとる」「価格が高い」という理由を無視して ハードカバーで購入した記念すべき本だったりします。
先日、文庫のほうをダブって入手したので親しい友人にプレゼントしました。 後日電話で「すごく面白かったよ」という感想をもらって、ほら やっぱ乃南さんっていいんじゃん。と少し得意になりました。
・・・・レビューになってないし。
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Amazonで購入出来ます 夫婦と息子一人の家族にもう一人家族が増えることになった。妻がその喜びをまだ 一人の胸にしまっていたとき、夫は電車の中で痴漢の疑いをかけられていた。 その事件が原因で家族はだんだんとおかしくなっていき、息子は夫の連れ子ということが 幸せなときは全く気にかからなかったというのに、歯車が狂い始めてからは 妻をヒステリックにさせるばかりだった。しかし親戚の少年が下宿に来たことを きっかけに、家族はまた再生する。

バツイチ子連れの男の妻になった絢子の心の揺れは、当事者でもないのに手にとるように わかりました。こういうところは、やっぱり乃南さんの筆のマジックなのでしょう。 このお話では人が死ぬことはなく、ある家族が崩壊しかけてからまた結束する流れが 書かれています。途中はもうどうなることやらはらはらしたけれど、 ラストはほんとに安心しました。世の中こんな幸せ家族ばかりだと言うことないんですけど(汗)
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Amazonで購入出来ます 高校生の真裕子の母が殺された。犯人は真裕子の通う高校の教師で、浪人生である姉の 千種の担任をしていた松永だった。母は松永と愛人関係にあったという・・・
真裕子や家族が受けた屈辱や悲しみは尋常ではなく、また松永の妻にいたっては 犯罪者の妻というレッテルに耐え切れず自らの身を落としていく。被害者・加害者双方の 近親者、また新聞記者の目から見た判決が下りるまでの長い長い葛藤が描かれている。

乃南さんの作品の中でも特におすすめなのがこの「風紋」です。もちろん人の好みに よるんですが。あまりにも悲しみとか衝撃とかが大きい時というのは、泣いている 場合じゃなかったりする時がありますよね。真裕子もそうだったと思うし、 私はこのお話を読んで以来、それまではワイドショーなんかで毎日のように取り上げら れている三面記事的な殺傷事件を目にするたび、被害者加害者双方の周囲の人のことを 想うようになりました。 全く無関係の私が「大変だろうなぁ」なんてことを考えたところで、その人たちの心が 休まるわけでもありませんが。
判決が出たときに真裕子が「これからいくつの涙壷を蓄えていくだろう」と考える 場面があるのですが、そこはとてもとても印象に残りました。できることならば 蓄えないほうがいいんじゃないかなとは思うけど、皆そうしながら生きていくのかも しれないな、と思いました。
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Amazonで購入出来ます 品川発萩行きの夜行高速バスがいつも通りに出発した。約14時間後に萩に到着の予定だったが、 深夜になって乗務員の一人が殺害され、殺人犯によって「バスジャック」される。 外は台風が接近し、悪天である。果たして乗客たちは、無事に目的地にたどり着くことが できるのか?

私(自分のことばっか書いてるけど)夜行の高速バスってけっこう利用してるんですよね。 萩ほど東京から離れているわけじゃないんで、その半分より少ない時間で到着するんです けども。眠っている間に帰れるのと料金が安いのとで、宿代は浮くし言うことなし。 ちょっと狭くて眠れないのが難点だけど。だけど幸いにもバスジャックなんてものに遭遇したことはないので、 今まで何も考えずにのほほんと乗車していたことが、本当はそれが当たり前のこの日本なのに、 ちょっと「ぞっ」としたりして・・・。
一人でバスを利用することがほとんどですが、 隣り合った人と口をきくことなんか全くないし、皆がそれぞれの事情でバスを利用して いるということに考えをめぐらせることもありませんでした。私が仮に乗車中に 同じアクシデントに遭遇したとして、果たしてどんな対応ができるだろう?と 様々な反応だった乗客たち一人一人にあてはめて考えてみましたが、 答えは出にくいですね・・・(汗)
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Amazonで購入出来ます [ママは何でも知っている] 「家族なんだから」許される、当たり前という感覚は誰にでも どこの家庭にも存在するものだとは思いますが、私はとにかく こんなにもあたたかで反面残酷な一家には、一生出会わないですむことを願うばかりです。 でも私は女性だから 大丈夫かな(汗)

[ルール] わが家を徹底的にきれいに保つためのルールが施行されるようになった。 主である洋平の立場や思惑などは無視され、中年として汚いもの扱いされ、 そのルールに従うよりほかなくなってしまった彼。やがてはそれが彼の、家族の大事なものを 奪ってしまいます。顔ダニ対策用石鹸を使用している私には何も反論できませんが、 少なくとも人にそれを押し付けたりはしませんね。怖いお話でした。

[僕のトンちゃん] 大人になれない、ならない夫婦は永遠に子供のままで生きていくつもり だったのでしょうか。そういう選択もあるということは理解できますが、 そこから考えを進めることのできなかった修哉はトンちゃんと呼ぶ妻を結果的に守れず、 夢からもさめることになって、果たしてどうなってしまうのでしょう。

[出前家族] 妻を壮年期に亡くして、かなりの痴呆の症状の出た老人が死ぬまでの 周囲を巻き込んだドタバタのお話。二世帯同居の遠縁の家族と、滅多に顔も出さない 実の息子の一家にレンタル家族などという楽しい情報も入り込んで、 とても愉快に読み終えることができました。が、死ぬ直前に正気を取り戻した老人が 残した遺言には、少しばかり悲しいものも感じずにはいられませんでした。

[団欒] ここまでお気楽無責任極まりない家族は果たして実在するのか?呆れつつ笑いつつ 読ませてもらいました。でもしっかりと家族の団欒と強いつながりを築いた一家。 これほどに自分の都合でものを考える家族ばっかりになったら、世の中違う方向に 変わっていくかもな ともふと思いましたが、やはり怖い!
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Amazonで購入出来ます 法子が嫁いだ家は、今どき珍しい大家族。姑も他の家族も皆やさしく法子に接してくれる。 理想的な家族のはずなのに、なにか妙なものを感じ不穏な行動に疑問を持った法子。 やがてその家族の真の姿が明らかになる。

ネタバレにもほどがあるので、普通の家庭に育ち普通に大きくなってきた私から見た この家族を表現する言葉は控えますが、とにかくびっくりしました。 小説の中だけでなく、もちろんこのような家庭もあるのかもしれない。でも本当に 「この家の家族になりたい」と願った法子だからこそ、真実を知ったあとでも 「家族愛の美しさ」という言葉ですべてを処理して、家を守ることだけに喜びを 感じて生きていこうとできるのだろうな、と。
私は物理的にも精神的にも「家」への執着はないので、なんだか少し うすら寒いものを感じてしまったりしたのですが・・・・。
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Amazonで購入出来ます [魅惑の輝き] 宝石の魅力にとりつかれ、とにかく宝石を手に入れるために生き、働き、 果ては一番恐ろしいことにまで手を染めてしまう有理子の気持ち、自分が同じことを することはないだろうし、手に入れたいと願う対象や価格も差はあるけれど、 私にも似たようなところがあるかもしれないな、とどきどきしながら読みました。 怖かった・・・

[彫刻する人] 彼女の一言をきっかけにダイエットに成功し、やがてはその肉体を 鍛え上げることに重きをおくようになった恒春の姿は、最初は「彼女」の立場から見ても 理想の彼氏にうつりましたが、こんなナルシストな彼氏なんていやだなぁ、と思わせる男へと 変貌していきます。
私の彼もそういった「鍛える」ことを常々しているけれど、出会ったときにすでに むきっとしていたので、このお話のカップルのようなことにはならなかったんですけど・・・ 結末はうーん。今ひとつかな(汗)

[忘れ物] このお話はとても恐ろしかったです。最後のオチが「なぁんだぁ」という 類いのものでなく、「えっ!」と、少なくとも私は大変驚いたんです。 内容のヒントを 書こうにも、とにかく読んでみてくださいとしか言いようがない、それほどに 感想やコメントを書くのに困ってしまうお話。きっと乃南さんじゃないと書けないでしょう、 こんなお話は。

[デジ・ボウイ] クールで何事にも無関心で、生きることへの執着や希望をもたない従兄弟。 彼のために正反対の性格を持つ直樹は、同居生活の中で彼に生きる目的を持つことを 熱く説きます。
その後起こった不幸な事故に従兄弟が下した決断、これはとてもとても哀しいものでした。 どんな人間にも、生きる目的はなくたって生きている意味を 本人以外の人に必ず与えていると思います。そのことを理解できなかった従兄弟を 哀れに思いました。

[家族趣味]それぞれのペースを守り、皆が皆を尊重してうまくいっていた家庭。 少なくとも妻・母である「私」はそう思っていましたが、夫・父である亮も息子で ある浩嗣も、皆が徐々に壊れていました。
本来の家族というスタイルがベストだとは思いませんが、やはり心のつながりや 言葉を交わすことって大事なんだと、当たり前ですが改めて実感します。 ごっこでない、本当の家族に憧れます。
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Amazonで購入出来ます 30才を目前に控えた、中学時代からの親友である栗子と菜摘。 結婚を意識する普通のOLとレズビアンバーの経営者という大きな違いはあるものの、 友情は変わらない。
それぞれがそれぞれの明るい未来を築き上げることができるかに見えたが・・・

私はこの作品を、やはり30を目前にした(今は通過した)時に読みました。 焦る気持ちやまだまだ大丈夫という気持ち、自分への自信の喪失感など、 様々な感情の中で押しつぶされそうになる年代です。
この作品の主人公である二人には、普通の人が送る30目前とは違った どんちゃん騒ぎが訪れてしまうようですが、それがきっかけで女としてふっきれるわけで。 また読み返す際には心の中で精一杯応援してあげたいと思います。
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Amazonで購入出来ます 忙しく過ごすことに喜びを見出し、空き時間を作ることを恐れて 毎日を過ごすOLの亜理子。十数年ぶりにかかってきた幼なじみの恵美からの電話で、 もう一人仲良しだった梨紗と3人で再会を果たした。それをきっかけに、 記憶の中に封印したはずの子供の頃の体験が蘇る。

小さい頃の記憶って、忘れたいことは自分の都合のいいように捻じ曲げて インプットしてしまいますよね。誰かにそれを訂正される機会はほとんどないけれど、 ふとした時に事実を知って、愕然とすることもあったりします。 ほとんどの人がそう深刻な内容ではないはずなのですが。
でもこのお話の仲良し3人組はとても恐ろしい体験をして、それを誓いを立てて 秘密として他言しないようにしました。その影響で3人は少しずつ歪んだ生活を 送るようになっていたというわけで。罪悪感からくるものだとしたら、3人は皆「良心」を 持ち合わせていたということになるのでしょうか・・・・
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