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◆乃南アサさんの作品の感想文
このサイトの管理人ひろみんが読んだ作品について、ネタバレも時々しつつ
率直に感じたことを書いています。ミステリのマニアではないので、
素人の視点での稚拙な内容になっています。
景子が5年前に会社をやめる原因を作った張本人、貴世美。交流を断って
落ち着きを見せた景子の元に、貴世美の影を思わせる電話がかかるようになる。
貴世美の消息をつきとめて、彼女が幸せになっていないことを確かめたかった
景子だが、思いがけない場所での再会を果たすこととなる。 何度も書くようですが、女は怖いんです(笑)かくいう自分もそんな女を うん十年もやっているわけでありますが、この女なんとかならんかーっ! という風に「うっとうしい」と感じる女性に出会った経験ももちろんあります。 ただ景子のように、自分に対して精神的な危害を加えなかったこと、 こちらの意思を伝えてちゃんと理解をしてくれる相手だったことが幸いして、 このお話のようにはならずにすみました。ただ女なら、一歩間違えたら誰でも 景子と同じ行動をとってしまう可能性は十二分にあるはず。もう一方の立場、 貴世美と同じという方もいるかもしれませんが。 ▲タイトル一覧にもどる
花屋で働く三田村夏季の前に現れた追跡者の影。
その後彼女はその影からの逃亡生活を送ることになる。
一方、史上まれにみる凶悪犯罪に取り組む小田垣と彼に近づく謎の美女。
追跡者は誰なのか?謎の美女は?これはまさに「サスペンス!」といった感じのお話でした。展開が割と早くて、 結末まで焦れるということもなかったし、最後の最後に「がっかり」ということがなく、 かえって驚いてしまったくらい。 小田垣と夏季のつながりがわかって、彼女がどう決着をつけるつもりなのかも わかっても、そこに殺人事件の犯人までが関わるなんて普通は考えつかないんじゃ ないでしょうか?(汗)詳しくはもちろん、読んでのお楽しみだと思いますが。 ▲タイトル一覧にもどる
[トゥインクル・ボーイ]
笑えばなんでも許される・・・という自分の魅力に気づいていて、無邪気なふりをして
自分の欲望を満たそうとする「子供」。自分の幼少の頃のことはあまり記憶に
ないのですが、少なくとも笑ってもごまかしがきかなかったということだけは覚えて
います。このお話の主人公の拓馬は、自分のしたことが悪だと気づかされた後
一体どうなってしまうのでしょう?[三つ編み] 自分になついてくる子供を哀れに思い、かまっているうちにタイミングの悪さも手伝って とんでもないことになってしまった男のお話。女の子というのは男の前では 小さくても立派に女であって、母親の前でだけ子供を演じているに 過ぎないのかもしれません。 [さくら橋] 自分の不幸な生い立ちや環境を憂い、友達の家族の一員になることを 望んだ少年。無理であることが理解できずに、恐ろしいことをいとも簡単にやってのけ、 その望みを叶えようとした冷酷さに鳥肌が立ちます。 [捨てネコ] うーん。なんとコメントしたらいいのか難しい・・・悲しいし虚しいし 恐ろしいし、一人空回りしてしまっていた努力の父親がかわいそうすぎます。 [坂の上の家] 子供とちゃんと向き合ってこなかった両親に対する報復を行った 小さな兄弟を、その家族が訪れるレストランで働く女性の視点から描いています。 連続放火犯のめぼしは最初からついても、まさかそれらが本番のための「練習」で あったとは予想もできませんでした。 [青空] 子供は天使などではなく悪魔であるということを、保母の職について初めて 知った早苗。私も条件つきの子供好きなので、ちゃんとそういうずるいところは 理解しているつもりですが、このお話ほどに大人の感情を併せ持っている子供は 知りません。怖いお話でした。 [泡] 子供の無邪気なところを、見事にうまく利用したと思われるパパの勝利ですね。 しかも子供に罪を犯させたと自覚させないで。たしかに言っていることは 間違ってはいないでしょうが、うーん。 ▲タイトル一覧にもどる
高校二年生の麻里子のカバンに、知らぬ間に一つの鍵が押し込められた。
その頃、近所で連続して起きる通り魔事件がついに殺人までエスカレートする。父も母もいなくなった障害をもつ女子高生と、その面倒をみることになり戸惑う 兄や姉との心の通い合いを描く。 私の周りにも、過去にちょっとした言語ほかの障害を持った知人がいました。 その人は特別にこちらが何か手助けをしなければいけない(たとえば筆談でないと 会話にならないとか)わけではなかったので普通に接していたのですが、 きっと「健常者」と違うということがわかった時のその「目」を見るときの 気持ちは、麻里子と同じだったんではないかなと、ふとそんなことを考えました。 事件が解決して、兄妹の関係が復活するまでの様々な葛藤とラストの微笑ましい 喧嘩のシーンは、心をあっためてくれました。 ▲タイトル一覧にもどる
男なんかに左右されずに、自分の力で幸せになってみせる、と密かに決意した翠は、
自分の中の「女」を使い分け、上司との不倫も同期との恋愛もうまくやっていける
つもりだった。でも、何かが違うという空虚感にさいなまれ、 翠は日増しに苛立ちをつのらせ、感情のバランスを欠いてゆく。 すごくクールに日々を送っているつもりでも、実はものすごく寂しい。 平凡な幸せをつかんで自分の前をいってしまう友人たちにみっともないくらいに 嫉妬して、毒づく。焦る。この気持ちは、翠ほど恋愛なれしていない(と思う)私にも 経験があります。現在はもうふっきれてしまいましたが(笑) しょせんは男なんて皆一緒だと、いい意味でも悪い意味でも割り切れるようになれば 楽になれるんだと思います。 ▲タイトル一覧にもどる
タレントの阿季子は結婚を機に芸能界を引退、幸せに暮らしていた
が、テレビ復帰が決まった直後から不気味な嫌がらせが始まった。
無言電話、尾行、悪意の贈り物など・・・・。一体誰が、何のために?
女は怖い!! 乃南さんの作品を読んでこういう言葉が真っ先に出てくることは 少なくありません。ただ「さぶぅ」という類いの、半分そういう「怖い女」を 馬鹿にしてという意味でなく、自分に対して苦しみや痛みを与えた人間に対して、 その時でなく後、緻密な計画の上で復讐をするというところに怖さを感じるのです。 阿季子という女性は自分が人にしてきたことをまったく気にとめないお気楽な人。 「してきたこと」の大小の差こそあれ、そういう女性は必ず 私たちの周りにいます。いつか仕返ししてやると目論む人も 少なくないかもしれません。この作品はそういった人の指南書にもなるかもしれない・・・ かも? ▲タイトル一覧にもどる
6月12日の交通事故で記憶を失った千尋。
思い出したのは、一週間後の19日が自分の結婚式ということだけ。
相手は一体、誰なのか。”自分探し”を始めた千尋の前に、次々と
明かされる予想外の事実。過去を取りもどすことはできるのだろうか?これはもう、最後まで何が何なのかわからなくて混乱したまま読みました。 記憶喪失というのは本人ももどかしいものなのでしょうが、 周りの人間も違った意味でとても落ち着かないものなんだろうなと思います。 思い出して欲しいことだけならまだしも、思い出してもらっては困ることがある場合は 特に。 映画化作品を見ましたが、その感想はまた改めて。 ▲タイトル一覧にもどる
友人主催のパーティで岩谷と知り合ったゆかり。
落ち着いた物腰に、ゆかりはひどく惹かれた。その後まもなく岩谷から
電話がかかり、ゆかりの中で恋の炎が燃え上がった。だが、それが
恐怖の始まりだった。電話は毎夜かかってきたが、話すにつれて、彼女の心に恐ろしい
疑惑が頭をもたげ始める。岩谷とは何者なのか?電話って、私は基本的にはとても苦手。現在の恋人とおつきあいを始めて5年以上になり、 その間毎日毎日、会わない日は電話で日々の報告などを しあっている人間が言っても説得力がないかもしれませんが。 相手の都合も考えずいきなり時間に割り込む行為は、かける側に悪意があったら なおさら厄介なものになります。 また悪意など毛頭なく、歪んだ形での愛情とか他の感情が 入り混じっていると、もうとんでもないことになってしまいます。 このお話ではそんなことを感じました。 ▲タイトル一覧にもどる
◆ライン(原題は[パソコン通信殺人事件]。文庫化の際に改題)
深夜のパソコン通信に没頭する小田切薫の周りで次々殺人事件が
起こる。それぞれの道を歩む高校の同級生たちは、友情と嫉妬が複雑に絡み合い・・・。
私が読んだのは原題のほうでなく、文庫化に伴いタイトルだけでなく 大幅に加筆修正がなされたという「ライン」のほうなので、さすがに 話の流れまでは変わってはいないのでしょうが、ちょっと悔しい気がします。 これを読んだとき、私もパソコン通信の世界に足を踏み入れたばかり でした。チャットの様子など手にとるようにわかったし、読んでいて はらはらしました。今、ネットで知り合った人とのトラブルが多発している ことを考えると、ネットでの出会いを美しく描いたものよりももっと 先見の明のようなものがあったということになるんでしょうか。 ▲タイトル一覧にもどる
女優を目指して上京した少女は、運命の悪戯に全ての夢を打ち砕かれ
孤独のうちに歳月を過ごしてきた。だがその男との出会いを境に、
心の底に凍てついた狂気がゆっくりと溶けはじめる。・・・なぜ忘れていたのだろう。あの夏から、私は妊娠しているのだ。 そう、何年も、何年もこの子は待っていてくれたのよ・・・・・。 乃南さんのデビュー作にふさわしい、大作だと思います。私は大した夢も なくのんびりと大人になってきたけれど、それでもこの志穂子と同じような 年代にあって、彼女の孤独とか、お母さんになりたいという気持ちを 理解できるように思うし、友人を死においやった不幸な過去を 持っているからなおさら、壊れてしまったのも無理がないのではないかとも。 そんな彼女の気持ちを見事に描いた、当時30才にも満たなかった 乃南さんはとっても不思議な女性だと思います。 ▲タイトル一覧にもどる ▲[ゴーゴー!N'sミステリー]TOPにもどる Copyright 2001-2004 (C)ひろみん All rights reserved. |