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◆新津きよみさんの作品の感想文
このサイトの管理人ひろみんが読んだ作品について、ネタバレも時々しつつ
率直に感じたことを書いています。ミステリのマニアではないので、
素人の視点での稚拙な内容になっています。
ネイリストとして働く岸本珠美には、2歳から3歳まで誘拐されて他人の元で「桜子」
という名前で育てられたという過去がある。
そんなあるとき、ネット上の掲示板でその事件が話題になっているのを発見するが・・・。 新津さんらしい、じっくりと前フリがあって後でどーんとくる心理サスペンス&ホラーのミックスされた作品だと思います。 珠美が離婚後も夫の姓を名乗り、事件の被害者であったことを連想されまいとすることや、 それを嫌う夫の再婚相手との火花散る攻防は読み応えがあります。 また、桜子として過ごした頃を知る人物が登場してからの戦慄のシーンも冴えています。 ▲タイトル一覧にもどる
かつてアイドルの追っかけをしていた3人の女性のその後を描くシーンから入り、
それぞれの葛藤から生まれるアクシデントにもやはりそれぞれの努力で立ち向かっていく姿が描かれています。
アクシデントはそのどれもが誰に起こってもおかしくなさそうなもので感情移入できます。
かつてのアイドルは花井健。
現在は探偵事務所を経営する本名中谷充、新津さんのほかの作品(『氷の靴を履く女』
『緩やかな反転』)でも登場していて、ある意味中谷充シリーズといってもいいのでは?
いや是非これから色々な作品に登場して欲しいです。
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表題作のほか「筆が殺した」「彼女に流れる静かな時間」「種を蒔く女」「捨てられない秘密」
「わたしのもの」の6篇からなる短篇集。
全て「問題小説」誌上に掲載されたものが文庫オリジナル版にまとめられ、
ファンにはありがたい1冊になりました。 新津さんの最近の長編にはやや強引な展開を感じないこともなかったので、 短篇ならではの「うわあ・・」という怖さ、 「あっ!」と騙される楽しさへの期待は裏切られませんでした。 既に読んでいたものもありましたが、再読でも十分に楽しめます。 表題作などは特に新津さんらしい騙しが入って、かつほっとする結末になっていて好きです。 ※下に、一部アンソロジーに収録された際に書いた感想文を移動しています。 [時効を待つ女]渋谷で中年男に声をかけられ、ホテルについていった大学生の雅美は、 交渉した額以上の金を男の財布から抜き取り、逃げようとしたところを男に捕まり、殺害してしまう。 15年後、時効間近の事件を追う「落穂拾い班」に入ったという正男の妻・雅美は・・・。 うーーーん。ラストでこんなからくりが明かされたとは!びっくりしました。 が、なんとなくはぐらかされた気分というのかな。 新津さんの作品の中でも、多分高く評価されている短篇の一つなのかもしれないんですが、「雅美」は「雅美」と結婚して改名した「正男」である こと、その結婚が「雅美」が改名して事件から遠ざかるためであったこと、妻に事件の犯人が夫なのではないかと疑わせるようにもっていった こと・・・・。全て辻褄は合うのですが、妻が時効にこだわるに至ったきっかけのようなものは、もう少しちゃんとお話の中で説明してほしかった な〜と。もちろん、そうしたら改名のカラクリが生きてこなくなっちゃうとは思うんですけど。 いまひとつ物分りの悪い読者のたわごとでした。でも、こういうお話を考えつく新津さんはやっぱりイイな〜と思います。 [彼女に流れる静かな時間]1985年のつくば万博で企画・実施されたポストカプセル郵便。 これを利用して、真弓のもとに2年前に行方不明になった友人の 未貴子から手紙が届いた。今は2001年。未貴子は真弓に日時と場所を指定して必ず会おうと いう内容の手紙を書いていた。真弓は戸惑いつつも約束の日に 待ち合わせ場所に向かうのだが・・・。 これも新津さん風といってもいいのでしょうか、少し名前遊びの入った、ラストになって真相が主人公の口から明らかになるパターンのお話 でした。パターンという言葉を使うと、私がこの短篇をあまり面白くなかったと感じているように思われるかもしれませんが、そんなことは ありません。なぜなら、「あぁこういうパターンだったのか」と思うのは読み終わってオチがはっきりしてからのことで、いつも面白いくらいに 私は新津さんのワナにはまって、「え??えー?どういうこと?」と首をかしげながら読むからです(笑)見事に騙されます。 16年後の自分に手紙を書くというのは、それだけの年月の間に自分が存在しないものになるということも踏まえなくてはならないし、存在しても その過去を封印して生きていかなくてはならなくなっているかもしれないということも考えなくてはならないのでしょう。 私は利用しませんでしたが、年末にテレビでこのポストカプセル郵便のことが話題になっていたのを見て、「書かなくて良かった」と少し思いました(汗) [種を蒔く女]独身で恋人もなく、職場と自宅の往復の日々を送りつつ、ガーデニングを 趣味とする敬子。何かちょっとしたトラブルがあったり、気に障ることが あると、その相手の名前を使って様々な通信販売の注文をして 嫌がらせをして気晴らしをしていた。 ある日、電車の中で高価なストッキングを破いたにも関わらず、謝る どころか気づきもしなかった女に腹を立て、その女を尾けて自宅を つきとめ、夫の名前を確かめた上でいつもの嫌がらせ作戦を開始するのだが・・・・ 新津さんらしい、勘違いや手違いが生んだ悲劇の結末というパターンの 短篇です。私はしたことないですけど、ちょっとムカつくなーという相手に 対して何か、物騒なことでなくて、しかも自分がやったとわからないように、 復讐というほどでない「仕返し」ができないものかと思ったことって ないでしょうか?思うだけなら、私だって毎日のようにやってます(笑) そんな願望を新津さんがこのお話でかなえてくれています。 が、ちょっとした手違いとタイミングで、主人公の敬子はとんでもない目にあうことになってしまいます。人を呪わば・・ってやつでしょうが、 ちょっとかわいそうな気も。2001年は新津さんの短篇集が2冊も出て嬉しい限りですが、今後も もっともっと出してほしいと思います。 [捨てられない秘密]31歳の若さで急逝した親友の告別式に参列した女性の語りで、 前半は何が起こるんだろうという期待感がふくらみました。 後半は彼女達の秘密が暴かれるかも?というなんとも居心地の悪い 雰囲気で、続きができれば読みたいと感じるような終わり方です。 女同士の秘密というものは実にあいまいでもろいもの、という印象が あり、私には誰にも言われたくない事を、誰にも言わないでとお願いした 友人はいませんが、この二人のように固い絆で結ばれているのはすごいなぁと思いました。 ▲タイトル一覧にもどる
自分にそっくりな女の子がいるという幼少の頃の体験を、
婚約者を母親に会わせたことをきっかけに知った「自分は非配偶者間人工授精によって出生した」
という事実によって思い出した双葉のもとに、そのそっくりな女の子・萌子から手紙が届きます。 普通に考えると、いくら何か感じるところがあるにしても、 全くの他人からの手紙による呼び出しに応じでのこのこと出かけていく双葉の行動に疑問は残るのですが、 その前に双葉の心情が十二分に描かれていたのでそのあたりは納得でき、 物語の進行に注目しました。 あとはお得意の新津さんワールドという感じで、あっという間にいろんなことが起こって、 想像もつかない結末に向かっていきます。双葉がピアノを教える末期がん患者の女性が、 いきなり科学では説明のつかない能力を得ていたあたりはちょっとなあと思いましたが、 ホラー文庫なのでそれもよしか、と。 ▲タイトル一覧にもどる
結婚式間近の元同僚にささやかな復讐を試みたOL。
その軽い気持ちでの「呪い」が実際の事件につながって、元同僚は事故により意識不明に、
OLは不眠症に陥る。 「いばら姫」をモチーフにしたという今回のお話、 女性同士の心理戦のような展開かなと最初は思ったので 正直なところいまいちかなと思いましたが、 1対1でなく複数の女性が描かれていて楽しめました。 心底の悪人(悪役?)も女性の中にはいないと思うので、 それも楽しめた原因かと思います。 最後にことの顛末が明らかになったのですが、ほんの少し偶然に頼りすぎというか 無理やりかなというような気がしたものの、退屈もせず一気に読めました。 ▲タイトル一覧にもどる
34歳、独身で家事は同居の母親に任せている女性、直子が
臨時採用になった小学校でいきなりクラス担任に就くことになる。
しかもそのクラスには1年前に行方不明になった女子生徒がいた。
直子には空席のはずの彼女の席に女の子の姿が見えるようになり・・・というホラー色の濃そうなストーリーかと思いきや、 結末はまさに憎むべき犯罪が絡んでいた(さらにオチもありましたが)、 というもの。 女子生徒の生死がなかなかわからず、どういうオチになるのか 想像もつかなかったので、ラストでは意外な感じというか、 期待の割には驚きは少なかったように思います。 女子生徒の母親が少なからず絡んでいたかもしれない事情にも、 私は母親になった経験がないのでなんとも言えないのですが 少しだけ疑問のような気持ちも残りました。 でも、新津節?新津カラー?は健在だなと安心しました。 これからも楽しみにしています。 ▲タイトル一覧にもどる
最近は新津さんの作風がどうしても「家庭」「子供」に
重点を置いたミステリー、ホラーというものが多く、
私はけしてそういったテーマが嫌いではないのですが、なんとなく
身近なテーマで間に合わせている?ような気がして、失礼ながら
自分の中での優先順位を下げつつあるかも・・・というような状況に
ありました。が、今回のこの「決めかねて」。占い師のもとで出会った35才の女性3人、 それぞれが不倫相手との別離、妊娠出産、結婚という選択を しかねている状況という強引な設定ではあったものの、その後の展開も 多少タイミングが良すぎという感はあったものの、ラストでは 3人それぞれがちゃんと地に足をつけて自分の進む道を決めて いくのです。 ありがちなストーリーといえばそうなのですが、私自身の生活の 状況とも重なり、励まされたような気持ちになれ、新津さんへの 応援の気持ちも新たになりました。 新津さんも人生の分岐点、きっとこうして悩まれたことでしょう。 私も頑張りたい。新津さんの書くものをこれからも追いかけていきます! ▲タイトル一覧にもどる
「おとぎ話をモチーフに」という説明が帯にある、書き下ろし。
白雪姫をどうやって現代のミステリーにあてはめるのかしらん、と
ちょっと力を抜いて読んでみました。ストーリーは、兄夫婦が不慮の事故で亡くなった後、アメリカから 帰国して実家に戻り、独り残された姪を両親と共に育てていく女性の 視点から描かれています。小学生とは思えない美貌を持つ姪への 嫉妬や、その美貌ゆえにふりかかる災難と、守ろうとする家族の動き。 ちょうどTVのニュースで小学生が渋谷に出かけたまま戻らず・・・ という事件が報道されていた頃の発売で、新津さんはタイムリーだなぁ などと思ったものです。(実際は偶然なのですが)ラストでは、 姪と女性の関係もとてもよいものになりハッピーエンド、なのですが、 姪が巻き込まれた事件がどのようにして解決されたのかということを、 女性自身の多分当たってはいるだろうが想像に過ぎない説明のみとして 客観的な真実の解明は避けています。王子様は父親だった、 という結論で締めているのが良かったと思います。 ▲タイトル一覧にもどる
ふと気が付くと、自分の横に自分の体が倒れている。
こんな経験は普通に生活をしている普通の人には、まず訪れないと
思います。それがこのお話の主人公、亜紀子には起こったのです。
これだけでも普通じゃないのに、亜紀子はなんと全く知らない別の女性に
なりきって生活を送ることになります。こんな事態になってしまった原因と
亜紀子、そして別の女性、光代の将来はどうなるのでしょうか。こりゃまた難解なテーマのお話を書かれたものだな、と読み始めて すぐに思いました。ひとつずつ何らかの情報が加わり、二人の女性の 関係や入れ替わった可能性にたどり着き、やがて解決の方向へと 進んでいくことになるのですが、そのあたりの流れはテーマがテーマ だけに、ちょっと説明で納得させられたというか、 「え?よくわかんないなあ」と感じる部分が私にはありました。 面白くないかといえばそれは正反対で、非常に面白く読んだのですが。 超常現象チックなお話もそれはそれでいいと思うのですが、私は どちらかというと人間の恐ろしさとか、偶然から生まれる恐怖みたいな ものが好みなんだな、とこのお話を読んで実感しています。 ▲タイトル一覧にもどる ▲[ゴーゴー!N'sミステリー]TOPにもどる Copyright 2001-2004 (C)ひろみん All rights reserved. |