◆新津きよみさんの作品の感想文
このサイトの管理人ひろみんが読んだ作品について、ネタバレも時々しつつ 率直に感じたことを書いています。ミステリのマニアではないので、 素人の視点での稚拙な内容になっています。

Amazonで購入出来ます 競売で偶然にも同じ姓の「高橋」の表札がついた家を手に入れた 高橋芙美子。夫が海外赴任にはなったものの、息子と平和な生活を 食っていた矢先、先住の高橋家の長男であるという篤が現われ、 その後彼の婚約者であるという女まで現われ、次々と芙美子達には 「トラブル」「脅威」となるできごとが勃発する。

う〜ん。怖かった! あとがきで新津さんが「読むほうだけでなく、書くほうもハラハラドキドキ しながら」ということを書かれているのですが、まさにその通り 「ハラハラドキドキ」しながらページをめくっていきました。 文庫カバーのあらすじだけを読むと、いかにもオバケ系ホラーなのかと 思ってしまっていて、少々怯えつつ読み進めたのですが、心理ホラーと いう趣でしょうか。
結局、芙美子の家庭に実質的な災厄はふりかからなかった、ということに なると思うし、「もう一度住みたい」という、先住の高橋家の人の 思いも叶い、(ネタバレになってしまうのであまり詳しくは書きませんが) そうなることへの説明が少々強引かなという気がしないでもなかった ですが、改めて「家」というものについて考えさせられました。
中古物件を買うときはよ〜く考えないといけないですね。という ありきたりな感想で締めくくるのは不本意ですが(笑)、私は持ち家に 対する願望があまりないので、現在のところは人ごとです。
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異形コレクション[夢魔]に収録

塚田真知子は、妊娠中に見た「男が女を追いかけ殺す夢」を 自分の未来の予知夢であると思っていた。しかし、生まれてきた ゆかりは自分が別の女性であった頃の忌まわしい体験を語り始め、 やがて真知子の恐れていたことが別の形で、最愛のゆかりの人生に 起こることとなるが・・・。

新津さんお得意?の輪廻転生ものに、アンソロジーのテーマ「夢」が ブレンドされて、非常に短いこの短篇にしては内容が濃かったのでは ないかと思います。
ストーリーは、塚田真知子という女性がある男を殺したという事実と その理由を、本人が告白した遺書という形で終始し、最後に事件を 担当した刑事たちの会話で締められていますが、最後の会話は 少し余分だったのかな??と私は思いました。 今回も母が娘に対して抱く愛情がキーワードになっているお話です。 ホラーテイスト溢れる「異形コレクション」シリーズですが、新津さんの 作品はやや異色ともいえるかもしれません。
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女流ミステリー傑作選[私は殺される]に収録

平凡な主婦である由紀子は、自分の吐いたひとことがトラブルの 元凶になるとは夢にも思わず、うわさ好きの主婦仲間に不確かな 目撃情報を話す。それがもとでうわさの標的となった主婦・香の 状況はがらりと変化する。 香の一家が引っ越してうわさはおさまるが、思いがけないところで 由紀子は香に再会、ことの顛末を知ることとなる。

誰かが死ぬとかいった物騒なお話ではないので、どうとでも考え られる終わり方はミステリーっぽくて良かったと思う。 実際にこんなにことがうまく運ぶことって そうはないだろうけど(汗) 最後に香が前より恵まれた環境になっているのを知って、「げげッ! うらやましい!!」と思ったのは私だけではあるまい(爆)
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Amazonで購入出来ます 学生時代の親友が、いきなり昔からの夢だったダンサーを目指すと いった直後に殺されてしまう。別れ際に受けとった手鏡を見た 喜美代に、不思議な出来事がおとずれる。「欲望をうつしだす手鏡」は 次々と違う人の手に渡り、常識では考えられない現象を引き起こしていく。

長編サイコホラーというジャンル分けをされているだけあって 現実離れしたアイテム(欲望を映し出す手鏡)というのは、夢もあるし 怖さももちろんあって、わくわくしながら読んだ。 ただ気になったのは、喜美代とかかわったことによって命を落とした桜井の 元恋人が、やたらと頭が回って推理力が豊かなことかな。 心理学を専攻してるという設定だから、無理はないのだけど、少しだけ。
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Amazonで購入出来ます 大学時代の友人たちと14年ぶりに集まることになった史子だが、他の 出席者は皆おぼえている「鈴木友子」という同窓生の存在を、史子だけが 覚えていなかった。その前にも、一時的に記憶が抜け落ちるということが あった史子は、大きな不安を感じるようになる。 その後、次々とそのときの出席者たちの身に危険なことが起こるが・・・

うーん 女ってなんて怖いんだっ! という感想を期待して、新津さんは頑張って書き下ろしたわけではないと 思います。お話の流れとしてはホラー的な要素が強くて現実離れしている んですが、人の意識が架空のはずの友人を作り出してしまうということが ある、ということは理解できるような気がしました。それが一つの犯罪を 暴き出すことにつながったのだから、そもそも示し合わせて嘘をついた 同窓生たちが一番スゴイのかも?
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Amazonで購入出来ます 子供ができない紀子は、夫や義姉たちに裏切られた。 公然と外の女性を妊娠させ、なけなしの慰謝料で家を追い出されたのだ。 都会に出て住む場所と仕事を確保し、徐々にその生活になれた紀子に シンデレラストーリーが開けることとなる。 莫大な資産を手にするかもしれない紀子に、その座をおびやかす敵が 次々に現れて・・・?

結婚してからの家族からの仕打ちを考えても、決して幸せな境遇だった とはいえない紀子だけれど、なにもいきなり金持ちの前に、かつての 恩人は私だと嘘までつかなくても、と思った私(笑) それを言ってしまうとこのお話は続かなくなるので却下して、控えめに、 献身的に生きてきた彼女が、誰にでもあるはずの欲望をためこんで 表に出したら大きかったのかな、とか下世話なコメント(汗) 嘘をつくってしんどいんですよね。 それでも結果的に、紀子は欲望のかたまりからちゃんとした普通の市民に 戻るのだから、人を幸せにした嘘ってことになるのかな。
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Amazonで購入出来ます 新婚半年で夫が失踪し、3年が経過した。書道教室を営みながら、 夫らしき遺体が見つかると確認に出向き、一方では「3年経過すると 離婚が成立する」という法律を受けて、できれば帰ってきてほしくないと 願う日々を送る池畑弘子。 そんなある日、弘子のもとに夫が生きているという、脅迫状まがいの 知らせが入る。

主人公の池畑弘子と、弘子が再婚を夢見る相手の元妻、恵と、そして 弘子の夫の失踪についての捜査を担当した女性刑事。 3人の女性がこのお話に登場します。もちろん、他にも女性は登場 しますが、3人が3通りの生活のスタイルを選択していて、読んでいて とても興味深かったといいますか・・・・。このお話とはあまり関係のない 感想かもしれませんが(汗)
新津さんの作品って、女性の本音(汚い部分=打算など)も含めた 心理描写が、上手い下手でなく、どきっとさせられるものがあると 思います。この場合、3人が3人とも結婚を経験しているので、私には 実質的には理解はできなかったのですが、既婚者の方ならばもっと 感情移入しながら読めたのではないでしょうか。 あ、ラストで、恵の生んだ子が、弘子の夫とのあやまちの末にできた 子供だと弘子が気づいたくだりは、少しばかりやりすぎなのか?と 思いましたが・・・(思い切りネタバレですね(汗)(汗))
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Amazonで購入出来ます 5歳になる一人娘の加奈子を事故によって失った容子。ある日現れたと いう「加奈子の魂」なるものの存在を信じる容子と、そんな生活に 苦痛を感じつつある夫の信樹。そんなとき、「加奈子の魂」が転生の 場所を見つけ、妊婦に入り込んだらしい。容子はその子供の誕生を 心待ちにする。

私は子供を持ったことがないので、子を失う悲しみは実際には理解が できないと思っています。容子の、我が子の魂という存在を目で見る ことができたということも、その深い愛情のあらわれに他なかったので しょうか。また、本当に生まれ変わった子供が容子を「前にママだった」と 認めたことも、実際にあるか否かは別にして、容子の気持ちを思うと せつなくなってしまいました。
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※[花迷宮]に収録

不倫相手の妻で、高校の同窓生でもある直美に関係を悟られ、 二人での旅行を 条件に離婚をしてもよいという口約束をとりつけた 早紀子。常に直美の言動に警戒しながらの旅で、早紀子は見事なまでに 直美の術中にはまる。

夫の不倫相手を許せなかった直美の気持ちも理解できるように思うし、 妊娠し、出産するのに最後であろうと思われるチャンスに、たとえ不倫の 末の結婚であっても賭けたいと願う早紀子の気持ちもわかるように 思います。でも、自分の命を賭けて自分の妻としてのプライドと座を 守ろうとした直見のほうが、このお話では一枚も二枚も上手だったのでしょう。
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Amazonで購入出来ます 夫や娘の無関心な態度にキレて、倫子は「捜さないで」という書置きを 残して家出を決行。ちょうど留守中の友人・直美宅にあがりこんで 一時の開放感を味わう。 そこに見知らぬ男が現れ、「捜し出したぞ」と言う。そこから倫子は、 自分が知りえなかった闇の世界で生きてきた人間たちや犯罪を知る・・・。

日常からの逸脱、というのは主婦だけでなく、独身である私も望んで やまないことではあります。単調な日々は誰だって嫌なものだと思います から。でも、この逸脱は「いい意味」でであって、倫子のように犯罪に 手を染めたり、住む世界が違うと思われる人間に捜されたり脅されたり ということではないはず・・・・
倫子のような生活を送って、同じように不満を抱えてる人はたくさん いると思うけど、どんなふうにして解消しているんでしょうね? そんなことを考えさせられたお話でした。
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