|
◆新津きよみさんの作品の感想文
このサイトの管理人ひろみんが読んだ作品について、ネタバレも時々しつつ
率直に感じたことを書いています。ミステリのマニアではないので、
素人の視点での稚拙な内容になっています。
雪子は中学生の頃から8歳年上の従兄の賢一を慕い、結婚したいと
まで願っていた。しかし賢一は同い年の、奇しくも同じ名前の「由貴」と
婚約してしまう。
どうしても許せずに、なんとかして二人の間に割り込もうとやっきに
なっていたとき、由貴が不幸な殺され方をする。
13年が経過し、雪子は念願の賢一との結婚を果たすことになるが、
自身の中にもう一人の人格が生まれて、様々な恐ろしい現象を
引き起こす。これはすごく分厚い本です。読み始めるまでが大変でしたが 特に無理のある設定でもなく、雪子の気持ちも理解できるので すいすいとラストまでいってしまった感があります。 雪子と由貴は年齢は違っても立派なライバルだったわけで 死んでもなおその思いを遂げようとする執念には恐れ入りました。 ある意味、そこまで人を愛することってできるかな?と思いました。 ▲タイトル一覧にもどる
駅のホームから転落した娘を助けてくれた行きずりの美青年、伊吹。
良子は夫にない魅力を持った伊吹にひかれ、伊吹もまた良子に接近
する。
伊吹には良子やその家族の前では決して見せない恐ろしい一面があり
彼女の家庭を崩壊させる計画を着々と進行させようとしていた・・・。姑と同居して、名ばかりの二世帯住宅に暮らしながら、絵画教室を 営む主婦・・・という、なかなかに難しそうな立場を私は味わったことが ないのですが、結婚生活ってそんなものなのかな、とどんよりして しまうほどに、細かく細かく心理描写がなされていて感心しました。 夫の思いやりのない行動や言葉にも、あきらめつつも傷つく良子が 伊吹にひかれたのは当然ともいえるんじゃないかな。 夫婦とか結婚とかいうものを考えさせられもした一篇でした。 ▲タイトル一覧にもどる
ふとしたきっかけで知り合った近所に住む女性・亮子は、同い年だが
自分よりも容姿も収入も劣っている。優越感に似た安らぎをおぼえた
千鶴は、亮子と親しくなる。不幸な生い立ちの亮子は、いつしか歪んだ人格の持ち主となって 異常なまでに他人の持ち物に興味を示すようになり、やがて犯罪へと 発展する・・・ こういう女性心理は、激しく理解できるといえます。多分誰もが持っている ものなんじゃないでしょうか。 もちろん、亮子のではなく千鶴の気持ちですが。 これも過去にドラマ化されたので見たんですが、千鶴を藤田朋子さんが 亮子を杉田かおるさんが演じられて、ものすごく鬼気迫る雰囲気が 伝わってきて、よかったのを覚えてます。 ひどいことをされながら、友達として受け入れようとする千鶴の姿勢は とても真似ができませんが、それが本当の友情というものなのかも しれませんね。 ▲タイトル一覧にもどる
◆二重生活(折原一との合作)
探偵事務所を営む佐久間と、仕事を手伝う姪のあゆみ。
彼らの元に藤森亜紀という女医が夫の正宏の浮気調査を依頼に
やってくる。諏訪に単身赴任中の夫の調査を開始した二人は、正宏が女性と一緒に 一軒家を借りて暮らしていることをつきとめるが・・・? 次々と変わる場面、意味深な日記は誰が誰なのか混乱してしまうが、 最後には実は誰が「二重生活」を送っていたのかが明らかになる。 最後にあ〜らびっくり!!という書き方は、折原さんの作品を一度でも 読まれたことがある方ならご存知だとは思うんですが・・・ 全体的には折原さんカラーがちょっと濃いのかな?と思ってしまった ご夫婦の合作。二重生活って、案外送っている方も多いかもしれない? ただ、ことの発端となった「私」と「裏切った男」と「侮辱した女」というのが 何のことかわかって、実はとても悲しいお話だったのだと思いました。 ▲タイトル一覧にもどる
大手企業に勤める夫と大学生の息子をもつ、平凡かつ表向きは
幸せそうな主婦・早瀬咲子。表向きとは違う家庭内での不満や
自身の人生についての疑問などを抱えるある日に出席した
同窓会がきっかけで、二重に嘘をつくことになる・・・ヤバイと思うことを隠すために、また一つ新しい嘘をつくということは 誰にでも経験があると思います。でも、このお話ではそうではなくて 甘い夢を見ただけの主婦が、ふとしたきっかけで無理やりに嘘を つかなければならない羽目に陥るんです。この作品は2時間の ドラマ化もされて見たのですが、世間ってなんてキビシイんだろうと のんきな感想を抱いてしまった私でした。 ▲タイトル一覧にもどる
マタニティ雑誌「プレマム」編集部の布施乃理子あてに、
「夫が吸血鬼かもしれない」などという奇怪な手紙が届いた。同じ頃に
「プレマム」の元モデルが殺され、読者ばかりか乃理子までも十二分に
巻き込む児童誘拐事件が起こる。事件とはいっても半分人ごとだった
はずのそれらが、やがて彼女の一番大切な人間に結びついてゆくことと
なる。現代の吸血鬼・・・ホラーのお話なのかな?と思って読み進めると (私は解説は全部読んでからしか読まないので)いろんな「病名」 (なんて言い方をしていいのかどうかわからないけど)が出るわ出るわ。 血を吸うことに恍惚を感じるという嗜好?が存在することも初めて知ったし なんでマタニティ雑誌なのかな?とも思っていたのですが、「血」を受け継ぐ (出産によって)ということにもかけてるんですね。 (これってわかって当たり前なのだろうか?(汗)) ▲タイトル一覧にもどる
ある夏の日、アパートの隣室に無断で入り込んでいた女とトラブルが
起こり、彼女を殺してしまった女子大生の鈴木かおる。
誰にも見つからないように遺体の処分を行い、完全犯罪への計画を
着実に進めていく。 13年がすぎ、セラピストの須山久美子のもとに謎の電話がかかり、 彼女自身がやがて精神的にぬきさしならないところに追い込まれて ゆく・・・ 感動したとか感激したとか、「心が揺り動かされた」「泣けた」といった 意味でなく、感服したといった意味での一押しの作品がこれです。 過去に図書館で一気に読んだ経験があり、本屋で見つけたときは 狂喜してレジに走りました。 鈴木かおるの完全犯罪がどうやって成し遂げられていくのか、 須山久美子とつながる時のスリリングな感覚など、私が新津さんの ファンになった大きなきっかけになったといっても間違いではありません。 ▲タイトル一覧にもどる
店に押し入った凶悪犯を説得して自首させたという、ワイドショーの
画面に現れた女は、十年前に同じように部屋に押し入った桐子の兄を
殺しながら、正当防衛で不起訴となった丸山志帆美だった。
兄の無実を信じていた桐子は、推理作家である自分の筆によって
正当防衛に隠された真実を告発しようとするが・・・?これは、かなり重いな(汗)と思いながら読んだのですが 私個人の生い立ちから考えると、とても想像がつかない思春期以降を 送ってきた桐子と、正当防衛を装ってでも男を殺す以外の道が 開けなかった志帆美と、お話の中でも何度となく小説が出てきますが まさに小説の中のこととしてとらえていたつもり・・なのです。 殺人から10年で事実が明らかになるというところに意味があるんで しょうか。同情するあまり、15年後だったらよかったのに、などと不届きな ことを考えた私です。 ▲タイトル一覧にもどる
※雨の会編[やっぱりミステリーが好き]に収録 単身赴任で地方の百貨店に部長として勤務する山本。社内での彼の 評価は、女性の気持ちを理解した理想的な上司。そう思われるように 計算してのことだった。 そんな山本は、なつかない女性社員に冷たい仕打ちをして退職に 追い込むが・・・ 男性社会に君臨し、女性受けも計算ができる人間が皆 おごった考え方をしているとは思いませんが、このお話の山本のような 上司は多いと思います。 私個人としては、決してこのような上司を疎ましいとは思わず、 これまた計算をして「そんな上司を慕う女性社員」を演じてしまいそう ですが・・・。たしかにロクな男ではありませんが、最後でここまで彼を おとしめるのはちょっとかわいそうかな〜とも思いました。 ▲タイトル一覧にもどる
◆純白の殺意〜グルメライター水沢風味子・周富徳の殺人レシピ
フリーライターの風味子は、制限時間以内に食べたら無料と
いうメニューをあちこちで制覇し 時の人となっていた。
ある日、テレビ局から出演依頼が舞い込み、中華名人の周富徳氏と
野菜炒め対決をすることになる。その対決は、風味子が砂糖と塩を
間違えたことにより、大盛り上がりの中終了するが、その後
料理評論家の門野が周を批判。風味子のことを侮辱する言葉も入って
いたため周が反論し、ワイドショーなどの取材が風味子にも及ぶことに
なる。
そんな騒ぎの中、門野が何者かに殺害される。
この本、今まであらすじももちろん表紙の画像も、何も情報がなかった ので、手にするまではまったく謎に包まれた本でした。 表紙にいきなり周さんのイラスト。これがまたそっくりでちょっと 笑えます(笑)。私は勝手に、周さんが犯人役なのかなとか想像していた ので、話の流れが本当に周さんがらみになっていったときは「うほ!」と 思いましたが、そんなに甘くはなく。 真犯人が悲しい運命をたどった姉弟であったという結末は、非常に重くて 読んでいて滅入ってしまいそうでした。その弟のほうが怪しいんじゃない かい?という見当は、この私でも途中から気づいていたほどなので、 多分勘のいい皆さんが読まれたらもっと早い段階で気づかれたんでは ないでしょうか。 ただ、主人公の風味子やその彼氏の佐藤君は、[匿名容疑者]の 成美ちゃんと刑事さんのコンビのような雰囲気で、初期の新津作品に 多いコメディテイストが多分に含まれた「美味しい」お話だったと思います。 これが文庫化されていないのは本当に疑問です。何故?? ▲タイトル一覧にもどる ▲[ゴーゴー!N'sミステリー]TOPにもどる Copyright 2001-2004 (C)ひろみん All rights reserved. |