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山村美紗さんの作品の感想文
ミステリタウンさんに書き込んでいるもののバックアップです。
大晦日の「おけら詣り」で振袖姿の女性が殺された。彼女の袂には百人一首の札があり、
その後その周辺で次々と殺人が起こる。そしていずれにも百人一首の札があった。これはキャサリンシリーズの比較的初期の作品で、 まだ浜口との仲が恋人になっていないところから始まります。 まだ浜口の話し方も恋人に対するそれでなく、一外国の要人に対するものになっていて興味深いです。 事件の推理をしていくうちに親しくなり、二人が結ばれるというシーンを描いた貴重な一作でしょう。 これは先日ドラマ化されていたのであらすじを思い出せなくて再読したのですが、 一個人病院の恐ろしい実態とかるた会メンバーや関係者の殺人への経緯は、 複雑でしたが見事だと思います。やや強引に結びつけたように感じられた箇所もありましたが、 おすすめ出来る力作です。 ▲タイトル一覧にもどる
旅行会社の添乗員、奈津子が添乗した高知へのお見合いツアーで殺人事件が起こる。
共に添乗した同僚の舟木が被害者と知り合いだったことや、
様々な事情や動機で旅行に参加した客達の背景が見えてくるに従い、
奈津子は皆が犯人に思えて疑心暗鬼に陥る。 ストーリーそのものは最後近くまで真犯人の見当もつかないもので、 わかってみれば動機も単純なものでなくて面白かったです。 ただ、さんざん冷たくあしらうような態度だった舟木が、最後に態度ががらっと変わって 善人になってしまったのは・・どうなんでしょう? 彼も奈津子を犯人かと疑っていたという説明で納得できないこともないのですが、 そのあたりをもう少し自然に描いてくれれば言うことなしでした。 ▲タイトル一覧にもどる
グアムでお正月を過ごしていたキャサリンと浜口は、日本人男性との間に生まれたという娘を
連れたナナという現地女性と出会う。そのナナが京都でひき逃げに遭い死亡したと知り、
キャサリンは父親と犯人探しにがぜん張り切る。日本の男性に限らず、 現地の女生徒遊んだ末の悲劇というのはよくある話なのではないでしょうか。そうした背景と、 父親の可能性がある5人の名士達の内部事情がからんで、 犯人は最後の最後までわからずじまいでやきもきさせられました。 動機も単純でなく感情移入できるもので、語弊はありますが楽しく読めました。 でも、ちょっと浜口がキャサリンを叱責する場面はかわいそうかなと思いました・・・ ▲タイトル一覧にもどる
人工皮革「シャレード」を使ったファッションショーの前夜と当日に出演モデルが殺され、
今度はシャレードによるウェディングドレスを着た花嫁が焼死。
ショーの取材で来日していたキャサリンは浜口と共に事件を推理していく。おなじみのシリーズですが、これも「百人一首殺人事件」の時と同様にキャサリンはまだ日本で 暮らしているわけではないようです。浜口とも完璧な恋人というわけでもなく、 セリフではところどころ「ハマグチ」と呼んだりしていて、後期の作品とついつい比較してしまいます。 この作品は繊維会社同士の競争とデザイナー同士の確執のどちらが事件の動機、 原因になっているのかがなかなか読めませんでしたが、最初に疑惑の人物となるコースターへの ローマ字については最初から「あれ?」と思っていたので、 真犯人がわかった時の驚きはそう大きくありませんでした。 燃えないはずの繊維が激しく燃える仕掛けも見事でしたし、いろんな分野に明るい山村美紗さんには毎回感心させられます。 ▲タイトル一覧にもどる
推理作家池加代子の娘で女優の梨花がシドニーの映画祭に参加した後に行方不明になった。
現地に駆けつけても何もわからず帰国すると、英文のFAXで身代金の要求が。
やがて梨花の友人である細川の死体がゴールドコーストで発見される。まんま山村美紗さんと紅葉さんをモデルにしたような、素の山村さん母娘もこんな感じなのかと 想像して楽しめるシリーズですが、 今回は他人でなく梨花が誘拐されてしまって推理を楽しむどころじゃありません。 疑惑は周囲の人間全てに向き、盗聴器まで発見されて事態は大混乱。 梨花が死んだと思わせておいて大逆転のラストはあっという間で、 なかなか事態の進展がみられない前半〜中盤とは対照的でした。 文春文庫版の解説に、 作中にも通訳と案内として登場したスコットさんが寄稿、最後の一文に外国人らしさが出ていて楽しめます。 ▲タイトル一覧にもどる
日本画家の沢木と舞妓の小菊が事件を推理するシリーズ。
お正月の旅行で伊豆の修善寺を訪れた沢木たちは、偶然に同じ旅館で祇園の芸妓が殺された事件に遭遇。
後に同行していた舞妓・豆千代も殺され、彼女が目撃したと口にした人物に疑いがかかる。 ・・・犯人は誰だ?と推理しながら読むのは推理小説の醍醐味なのですが、 今回のように大本命が最初からわかっていて、どんでん返しはいつだーと期待しながら読んでいくのも ドキドキ感がたまりません。結末は読んでのお楽しみですが、 真犯人が完璧な悪人だった場合は同情しないですむので読後感もさっぱりでいいですね。 ▲タイトル一覧にもどる
検視官江夏冬子シリーズ。冬子が友人の祝いに夫婦茶碗を買った清水焼の老舗の店主が殺され、
様々な人間関係を巡って過去の事件も発覚、そして関係者が次々と謎の死を遂げる。 最初の事件で完璧なアリバイがあった人物が結局は真犯人だったという、 ミステリーの王道的なストーリーでした。読者を混乱させてくれた人物の行動はやや強引というか 「そんなん普通やるかなあ〜」と思った部分もありましたが、 最後にはめでたしめでたしな結末に落ち着いたのでまあいいか・・・。 京都の地理に詳しい人ならもっと楽しく理解できたであろうトリックは、 私にはあまりわからなかったのでちょっと残念。 ▲タイトル一覧にもどる
1995年、阪神淡路大震災直後の神戸で瓦礫の下から男性の死体が発見された。
ボランティアに出かけたキャサリンと浜口はその男性が京都の人間であったことから不信感を抱き、
殺人事件であることを直感。やがて警察によって死体は他殺と断定される。ボランティアに積極的なキャサリンに対しての当初の浜口の態度は、 デートの予定が崩されたことにすねるただの子供。浜口はそんな物分りの悪い男じゃなかったはずなんですけど・・・ 一度行ってしまえばそんな考えは払拭されて彼も自ら動くのですけど、 ちょっとイメージ悪かったです。殺人事件はその後も続々と起こり、関係者がだんだん減っていくので 犯人も徐々に絞られてくるのですが、発端は過去の不幸な事件でした。 動機としても納得できるし、真犯人に同情も出来るし、まさにサスペンス向けのストーリーだなと不謹慎ながら思いました。 ▲タイトル一覧にもどる
キャサリンと浜口のおなじみのシリーズ。今回は浜口の大学時代の同級生で、
淡い恋心を抱いたこともあるという女性が登場し、彼女の周囲で次々と起こる殺人事件を2人が推理します。
現代の清少納言、紫式部、和泉式部と称される女性達がいて、恋愛や昇進と動機も渦巻きます。
浜口の友人が事件に関係していることもあり、2人の恋人としての複雑な感情も描かれています。
真犯人が誰なのかは最後にキャサリンが解明してみせるのですが、いつもとは少しパターンが違うようです。
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古代裂れに興味を抱いたキャサリンは強引に浜口を誘い、織物業界の人間達のバリ島への視察旅行に
出かける。そこで連続して2人が殺され、2人は視察もそこそこに事件の推理に没頭する。今回は久々に電話のトリックが登場していましたね。山村美紗作品ではこのてのトリックはよく使われるような気がするので、 キャサリンが解明する前に解けていたのが自慢なのですが(笑)、 密室に関してはいつもなかなか解けません。 ▲タイトル一覧にもどる
東京のOL3人組、麻知子、ユミ、みどりが出かけた京都で、同じ旅館で泊まった新婚夫婦の妻が
川に転落死する。夫が疑われるがユミが事故であることを証言した。
翌日にはなんとみどりが、そして今度はその愛人が殺される。再読なので誰が真犯人かはわかっていたんですが、最初に読んだ時も最初からいかにも怪しい人物が いたので、たぶん誰でも騙されなかったと思います。 終わってみれば3人が3人とも不倫をしていたというわけで、ありえない話でもないんでしょうが 読んでいて「お前もかー」みたいな(^^;) ▲タイトル一覧にもどる
レズビアンの関係だった百合が旅先で消息を断ち、やがて死んだ。
残された麻美は百合の残した手がかりからことの真相を探り始める。 ・・・百合への麻美の愛がどれほどのものであったかというのをもう少し強調してくれていたら、 私も麻美にもっと感情移入できてこのお話が面白く読めたと思います。 親でも姉妹でもないのにここまで出来るのは何故?真相に気づいていながらも警察には言わない、 かといって見返りを求めるわけでもない宮川の存在意義は? 最後の最後があまりにもあっけなかったことも含め、なんとなく中途半端な印象を受けた作品でした。 ▲タイトル一覧にもどる
検視官江夏冬子シリーズ。休暇で友人・百合子のいる長崎に出かけた冬子は友人が不倫の恋に
悩んでいることを知る。翌朝その相手の妻が長崎で死体で発見される。 ・・・最初から犯人はこの人だろうというのがわかるんですが、途中で色々なヒントを与えて 惑わせるというパターンのストーリーでした。百合子の思い込みの激しい不倫っぷりは ちょっと引いてしまったけれど、最後のどんでん返しは女性の味方?の山村美紗さんらしいなと。 ▲タイトル一覧にもどる
千利休をテーマにした映画を観たことで興味を持ったキャサリンと、
浜口が出会った東京から来ていた学生の1人が、偶然にも千利休のドラマを撮影中のセットの茶室で
死んだ。その後もスタッフや俳優が殺され、謎は深まる。例によってキャサリンが捜査に 乗り出すのですが、いつものパターンなので特に違和感はありませんが、 今回はちょっと強引な場面があってやや鼻についたかなという気がしました。 ホテルの部屋番号のトリックも前にも見てすぐにわかったのですが、ちょっと無理があるかな? ▲タイトル一覧にもどる
証券マンの岩木が担当したばかりの顧客が殺され、その後も次々と周囲の人間が命を落としていく。
恋人、社内のカウンターレディ、顧客の女性など複数の女性と関係を持つ岩木は自分にかけられた罠に翻弄される。
読みながらもいらいらしたり呆れたりはしましたが、まあのんきな男ですねえ。 自分が犯罪に巻き込まれているのに女性に嫌われないための嘘は平気でつけるし、 打算的な考えばかり。岩木は犯人ではないので事件は最後には解決しましたが、 1人の女性の人生は確実に変えて殺したも同然になったし、女性から見ればざまあみろな結末に なりました。推理小説というよりは愚かな男の物語という感じでした。株の勉強にはなると思いますが。 ▲タイトル一覧にもどる
山村美紗さんの処女作(多分)。『京城の死』を改題。引き揚げ経験を持つ女性の壮大で悲しい
ミステリーです。『鳥獣の寺』も同じように引き揚げ時の混乱が発端となった事件を巡る悲劇を描いていますが、
主人公の女性の名前や事件の性質がとてもよく似ていて、文庫版巻末の解説で山村さんご自身が
「作品を出版する気がなかった」というのはわかる気がします。
作中には北朝鮮のスパイ活動で日本になりすました人間というのも登場し、
出版当時よりも今読むほうがまた違った意味でリアリティがありました。
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日本画家の沢木と舞妓の小菊のコンビが事件を解決するシリーズ。小菊の後輩の舞妓・豆代に
一般人である恋人がいるらしいというところから始まり、旦那候補だった工藤が殺されたことから
豆代に疑いがかかる。 ・・・動機も容疑者も二転三転し、ミステリとしては楽しんで読めました。
沢木と小菊が旅行中に結ばれるのか否かという下世話な興味も。
ラストで沢木がとった行動でじんわりとし、真犯人のヅラ写真を見て小菊が爆笑するシーンで一緒に笑いました。
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時代祭の夜に芸妓が、次に舞妓が、そしてクラブホステスが・・・次々に殺人事件が起こり、
それがニセブランド品に関係しているとにらんだ日本画家の沢木と舞妓の小菊は2人で推理をはたらかせる。
・・・今回は動機ははっきりしていて、怪しい人物もいてという設定の中でのアリバイ崩し、 トリック崩しに重点が置かれていました。一番それらしくない人が真犯人であるというのは ミステリでは定説で、これも同様でした。なかなか事件の解決に向かう兆しがなく途中でちょっと 中だるみしたような気がしたのは残念です。 ▲タイトル一覧にもどる
浜口とキャサリンのシリーズ。浜口の教え子が誘拐され、身代金を支払っても帰ってこないまま
時間が経過。キャサリンは大掛かりな奇策で犯人に挑戦、事件は解決するかと思われるが・・・・。
凡人にはとても考え付かないようなことを、小説の中ではありますが実現させようとしてしまう キャサリン。こういうダイナミックなストーリーの運び方が後期の山村作品にはなかったような 気がします(この事件が起こった時はキャサリンはまだ日本に住んではいないので、 これは比較的初期の作品と思います)。久しぶりに心からわくわくしながらページをめくりました。 山村美紗さん初心者におすすめ出来る作品といえると思います。 ▲タイトル一覧にもどる
キャサリンと浜口コンビのシリーズ短篇集。表題作と「嵯峨野トロッコ列車殺人事件」
「小京都酒田殺人事件」「足摺岬の殺人」の4篇が収録されています。
日本各地に事件がらみで二人が出かけるという設定がかなり強引ですが、
それはいつものことなので気になりません。「トロッコ列車・・」での殺人の動機はあまりにも
短絡的で少々興ざめしましたが、実際の事件も案外信じがたい動機で起こっていたりするものだと
思うと、これが一番リアリティがあるのかもしれません。
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