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山村美紗さんの作品の感想文
ミステリタウンさんに書き込んでいるもののバックアップです。
「残酷な旅路」「恐怖の賀状」「五〇パーセントの幸福」「黒枠の写真」「死者の掌」「孤独な証言」そして表題作が収録された短篇集。後で他の短篇集に収録された短篇も多くあり、それだけ優れた作品が多かった著書といえると思います。印象深かったのは「孤独な証言」。旅客機が墜落してたった一人だけ生き残った女性が、事故に関する証言をめぐって想像を絶する経験をします。いつもの山村美紗さんの作品のパターンと違い、謎解きではないのですが非常に興味深いラストでした。 1985年の日航機の墜落事故よりも前に執筆されたものですが、あの事故で生き残った少ない方も同じような経験をしたのだろうかと考えさせられました。 ▲タイトル一覧にもどる
祇園の舞妓・小菊と画家の沢木のコンビが事件を解決するシリーズの短篇集。表題作のほかには「舞妓殺人事件」「夏の密室殺人事件」「舞妓水揚げ殺人事件」「浮舟殺人事件」が収録されています。「舞妓殺人事件」で小菊と沢木の出会いが描かれ、徐々に二人の関係が親密になっていく様子がわかります。キャサリンシリーズでキャサリンと浜口がつかず離れずの関係を保っていたのと同じで、やはりこういうコンビは微妙な関係のままがいいのでしょうか、この二人も沢木が小菊を水揚げするという話が出るにとどまっています。 そんなに祇園の舞妓ばかり殺されていては人手不足で大変だろう、という突っ込みはなしにしておきますが、小菊のおっとりした話し方とは裏腹な行動力は小気味よく、またドラマ化された時に小菊を演じた酒井法子さんを想像したりして、推理そっちのけで楽しませていただきました。 ▲タイトル一覧にもどる
半年前に結婚したばかりの夫と京都の大文字焼きを見に東京から来た美也子。はぐれた夫を探しているうちに女性の死体を発見し、なんとその死体の下に夫の名刺が落ちていた。夫の行方は杳として知れず時間が過ぎ、やがてその夫までが命を落とす。美也子は夫への疑惑と愛情に悩みながら事件の解決を目指して行動を起こす・・・というストーリーです。見合い結婚した夫の素顔を知ろうとする美也子の涙ぐましい姿を応援したい気持ちと、犯人は誰だろうという推理魂を並行させて読めて、楽しめました。犯人当てについても色々なヒントが提示され、作者の工夫が伺えるように思います。夫が遺したダイイングメッセージが結局、誰に対してのものなのかはっきりとは理解できなかったのは残念です。 ▲タイトル一覧にもどる
大学の同級生たちと岡山へ旅行することになった美帆。勤務先での恋愛に疲れて、この旅行で誰かと恋人になれればいいという下心もあった。しかし、旅先で次々と友人が殺されていってそれどころではなくなる。やがて美帆と残った友人たちは真犯人を突き止める。 この作品が先日ドラマ化され、原作のストーリーをすっかり失念していたので再読してみました。過去の恋愛相関図はそれは華やかで、現実にも男女の関係なんてそんなものなのかもしれないなとため息をつきたくなる気持ちが半分、うらやましいと思う気持ちも半分。ただ、学生の頃は純粋だった気持ちが社会に出るにつけ曇っていき、好きという感情だけで前に進めるわけではないということが事件の発端になったようにも感じます。犯行のトリックについては、山村美紗さんのパターンに慣れてきた私にはさほど新鮮なものではありませんでした。 ▲タイトル一覧にもどる
映画監督の夫との離婚を前提とした旅行「離婚旅行」のために京都にやってきた女優の付き人がバラのトゲに塗られた毒物で命を落とした。友人のリカは付き人の後釜として臨時に女優に付き、真犯人探しを始める。 以前ドラマ化されたもので、設定やストーリーもそこそこ原作どおりだったのか、流れが記憶に残っていたのであまり新鮮味はありませんでした。が、友人を殺した犯人を見つけようと意気込むリカの恋人があの橋口警部補ということで、そちらの恋の行方も微妙に進んでいるようで見所がありました。以前別の短篇で、ちらっと「ガールフレンド」という設定でリカという女性が登場していたと思ったのですが、続いていたんですね、よかったよかった。 ストーリーはあまり長いものではないのですが、次々に4人も殺されるのでちょっと殺しすぎの感があります。さすがに怖いというよりも突っ込みを入れたくなりました。 ▲タイトル一覧にもどる
推理作家とニュースキャスターを兼務している沢木麻沙子シリーズ。麻沙子が取材で訪れた島原での大夫道中で桔梗大夫が殺害され、事件に興味を抱いた彼女が推理と取材を進めていくというストーリー。 最初の事件が偶然の事故から起こったものであり、真犯人には同情する面もあるのですが、その後その事件を隠すためにまた殺人を犯したことにはやや動機に強引さを感じてしまいました。しかし、真犯人に殺されてしまうかもしれないという恐怖感を持ちつつも事件解決を優先させた麻沙子の腹のすわり具合には感心させられます。 ▲タイトル一覧にもどる
山村美紗さんの作品の代表的なシリーズといえるキャサリンシリーズの第一作。アメリカの副大統領令嬢のキャサリンが父と共に来日し、父の帰国後も華道を学ぶために日本に留まる。通訳やエスコート役を外務大臣の叔父から頼まれた浜口一郎は、華道界で起こった連続殺人事件をキャサリンと共に推理し解決へと導きます。 後期のキャサリンシリーズのほとんどは、キャサリンが事件に向かって一直線であるのに対して浜口は消極的です。そして人物像もキャサリンはそのままですが、浜口はかなり保守的で一般的な日本人の男性のように描かれています。ですがこの第一作での浜口ときたら、全くもって「あなたを変えたのは何だったの?昔はあんなに事件に夢中だったじゃない」と言いたくなるほどに推理好きで図々しく警察の捜査に割り込んでいます。そのギャップが小気味良くて非常に楽しめました。また、事件のトリックや背景もよく練られたもののようで唸らせてくれました。山村美紗さんの作品を初めて読まれる方におすすめしたい一冊です。 ▲タイトル一覧にもどる
古美術の買取に出かけ、変わり果てた姿で帰宅した父の死の真相を解明するべく、恋心を抱いている伊吹や友人たちとともに事件の謎に挑む麻知子。父は時価一億円ともいわれる名画「前向き小町」を手に入れるはずだったと知り、小町を探す長い道のりが始まった。 ・・・・小野小町の名前は知っていても、文学史や日本史にはまるで関心もなく知識もない私には、歴史の解説書か何かを読んでいる様な説明の箇所はちょっとつらかったです。それにドラマ化された時の真犯人の動機などがあまりにもリアリティがありすぎて、(といってもドラマ上ではという意味ですが)この原作の動機はちょっとお粗末すぎたように思いました。でも、発想の転換だよと殺された助教授が言い残したセリフを元にだんだんとことの真相が明らかになっていくときの爽快感はなかなかのものでした。 ▲タイトル一覧にもどる
同じ会社の部長・朱雀と結婚することになった美知子は、彼がこれまでに三度結婚し、その妻全てを事故で亡くして四度目の結婚であるということに不安を感じつつも、以前から心を寄せていた男との新婚生活に夢を抱いていた。京都への新婚旅行に行った時から、不可解な殺人事件が連続し、やがて美知子にも何者かの魔の手がしのびよる・・・。 設定からしてちょっとありえないのでは、と読者が心配してしまいますが、事実は小説よりなんとかですものね。これもドラマ化されていたのを見た時の記憶が少しあったので、やや先入観を持ちながら読んだこともあるし、真犯人もわかっていたので、トリックなど細かいところをチェックしつつ進めていきました。美知子の朱雀への純粋な気持ちと、女性としての打算を感じる部分が絶妙に描かれていて興味深かったです。結末は後味の悪いものでしたが・・・。 ▲タイトル一覧にもどる
進学校と言われる公立高校の教師を務める亜木子は、大学受験を控えた3年の担任を受け持って日々奮闘していた。夏休みに入ったばかりの頃、クラスの女生徒がマンションから飛び降り自殺をはかり、彼女が妊娠していたことから亜木子は大学の同窓生で予備校講師の田辺から情報収集しながら事件を探る。・・・・・山村美紗さんご自身が教師、受験生の親という双方の立場を経験されたということで、単なる「教師探偵の謎解き事件簿」でなく興味深い作品になっていたと思いました。最後の最後まで真犯人は結局誰だったのかが不透明なままで終わるというのも、彼女の作品にはあまりないパターンですが、新鮮で良かった。受験戦争という言葉が定着して長いですが、この作品の中で起こったような事件の数々は決して小説上だけではないのではないか・・・そう推測して背筋が凍ります。 ▲タイトル一覧にもどる
おなじみのキャサリン&浜口のコンビが事件解決に挑むシリーズ。しばらく帰国していて来日したキャサリンが、新幹線の中で知り合った魅力的な建築家の女性と共に浜口の案内で西陣織の老舗・小林家に出入りするようになってから、次々と小林家内外の人間が殺される。・・・キャサリンと建築家の栗田という女性の知り合ったきっかけがまず、やや強引かなという気がしました。なぜならこの女性が事件解決の重要な役どころだからです。 連続殺人の動機が復讐であるというのはミステリーの定番かもしれませんが、そうではない場合に何人もの殺人を犯す理由というのはなかなか難しいように思います。今回も真犯人の動機はビジネス上の目的が主でしたが、そこまで果たしてやるかな?という疑問は残りました。 ▲タイトル一覧にもどる
ニュースキャスターと推理作家の二足のわらじを履く沢木麻沙子シリーズ。麻沙子がレギュラー出演している番組で龍野のさくら祭を特集することとなり、前取材で訪れた麻沙子達はさくら祭のたびに武者行列に参加した人間が死んでいることを知る。そして祭当日にも不幸な事件が・・・。長くそして重いストーリーで、結局最後はいつものように「真相の説明」がないままでした。真犯人がわからなかったというわけではないのですが、歴史ある地方の町の土壌のようなものがネックになって、「〜〜だろう」で終わってしまっていたようで少し残念です。 でもこの作品は、執筆途中で山村美紗さんが逝去され、最後の部分は西村京太郎さんがまとめられたものなので、それも仕方ないことなのかな〜と思います。西村さんの作品をほとんど読んでいないのでよく知らないのですが、文体なども特に違和感もなく、西村さんのご尽力が伺われます。 ▲タイトル一覧にもどる
恋人との別れを忘れようと京都に旅行に訪れた麻由子。大原三千院で観光をしていて松田という大学院生と知り合い、東京でのアルバイト先で知り合った水尾悠子という女性の自宅に宿泊させてもらうことに。しかしその水尾家で思いがけない連続殺人劇が起こる。 ・・・水尾家という家はそれはもう凄い家で。実際に旧家の当主というのはそういうものだっただろうなあ、と想像はしますが、現代においてもそうなんだとしたら、連続とはいかないまでも殺人が起こるのは当たり前かもしれません。麻由子が行ったその夜から立て続けに事件が起こったので、彼女がアリバイ作りに利用されたのだなというのがバレバレでそのあたりはもうちょっとだなと思いましたが、その最初のアリバイに関するトリックはなかなかよく考えられていて、見破ることは出来ませんでした。 ▲タイトル一覧にもどる
親友の夏子と冬子はともに恋人との別れを経験し、京都で心機一転スナックを始めようと決意。スポンサー探しの中で、冬子が狙いを定めた病院長が殺されてしまう。しかも冬子が一夜をともにした時だった。 ・・・主人公は夏子という形で描かれていますが、冬子も憎めないキャラクターで、ストーリーの殺伐さとは裏腹に楽しく読めました。「夜の京都殺人迷路」と同様に夜の世界の普通というようなものが垣間見れたのも興味深いです。誰が黒幕で何をたくらんでいるのかもわからない、仲間と思っていた人物が実は・・という展開も、ありがちですがドキドキハラハラしながら読めて面白かったです。でも、夏子だけには危険な場面がなくて恋もスムーズに進んでいたので、もうちょっと何かあっても良かったんじゃ?と少し思います。 ▲タイトル一覧にもどる
自分を捨てた恋人への未練が断ち切れず、そのために妹との待ち合わせに遅れた朝子。妹・夕子はその間にレイプされたことを苦に自殺をはかり、朝子は彼女を死においやった人物を探すために夜の世界に入る。 ・・・クラブというのに行ったことがないので、実際の様子がわからないのですが・・山村美紗さんはきっとお詳しかったのだと思います、ホステスとしてのマニュアルのようなものがしっかり描かれていて「すごいなあ」とただただ感心していました。肝心の朝子の「敵探し」についても、最有力と思われた人物が殺されてしまったりして複雑になってなかなかわからず、推理劇としても楽しめました。が、スポンサーとしてでなく本気で愛した相手が事件に関係しているという偶然はちょっと私的には好きではないかなあと。 ▲タイトル一覧にもどる
恋人と別れたばかりの明子は、趣味のお寺めぐりで出かけた十輪寺で出会った大学助教授の細川と付き合うようになる。
彼に誘われて出かけた大学関係者のパーティーで殺人事件が起こり、
明子はどんどん狭い人間関係に巻き込まれる。 ・・・これも山村美紗さんが未完のままで急逝されたので、 西村京太郎さんが最後まで引きついで完結された作品です。 西村さんでなく美紗さんが最後まで書いていても同じような結末になったのかもしれませんが、 私には納得いかなかったというか、 そこまで主人公の明子にとって残念な結末はなかろーという感想です。 連続殺人をする動機が大学内での出世という目的のみだったというのも、 そういう世界に入った経験がないのでわかりませんが理解に苦しみます。 ▲タイトル一覧にもどる
京都嵐山の三船祭りの扇流しの場面で起こった人気女優の殺人事件。
撮影所のメイク係りの由紀子は、カメラマンの竹内や仕事仲間と一緒に事件を推理する。 ・・・ドラマ化されたものを見ていたので、 大筋はわかっていてやや驚きが少なかったのが残念でしたが、 真犯人が誰だったかは実は覚えていなかったので、 最後の最後に「結局お前かい!」という展開になったのにはさすがだなと。 しかし実際の撮影所をめぐってこんな連続殺人が起こったら大変だろうなあ。 ありえないと思いますが。 ▲タイトル一覧にもどる
検視官江夏冬子シリーズ。平和な京都の正月を母親と過ごしていた冬子ですが、
いきなり首と手首のない男性の死体が発見されていつもの生活に逆戻り、
という場面から始まります。次にはその被害者のものらしい指が見つかり、
指に傷があったことから行方不明者の家族からの問合せが相次ぐのですが、
事件はどんどん複雑になっていきます。
行方不明者、死体、隠したいのか見せたいのかわからない犯人の目的など、
本当に最後の最後まで冬子や橋口警部補も惑わされてしまっていました。
私ももちろんすっかり騙されて、最後にまた驚いて。
どんでん返しの繰り返しで、ちょっと疲れてしまいました。
でも作品としてのクオリティは高かったと思います。
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検視官江夏冬子シリーズ。初詣で賑わう伏見稲荷で晴れ着姿の若い女性の死体が発見され、
それは京都府警の捜査一課の刑事、渡辺の妹だった。
婚約者の江田も行方不明となっていて、捜査一課の面々は綿密な操作を開始する。 ・・・警察の人間の親族が被害者になるというケースもありえないとは言えず、 当初は警察への怨恨や抗議といった動機も考えられましたが、 このストーリーでの動機は恋愛、結婚といったものでした。 私的には恋愛関連でないほうが話が面白くなったのではないかと思いますが、 山村美紗さんを読まれる多くの方はそうではなかったかもしれないと思います。 ただ、あまりにも人を簡単に殺しすぎというか。 自分の利益を守るため、夢を叶えるために4人を殺してしまった犯人の切なる願い(動機) がちょっと弱いように思いました。 殺人の動機なんて、実際に実行してしまった人にしかわからないものなのかもしれません。 ▲タイトル一覧にもどる
突然誘拐され、見つからないまま1年後に犯人が預けた保育園からの連絡で戻ってきた娘。
結婚前に一度だけ関係を持った男との間に出来た男か、夫か、
どちらの子かわからず悩む加代子に衝撃的な電話がかかり、連続殺人が始まる。 ・・・自分の娘が誰の子かわからないという後ろめたさゆえに、 悪意ある女の言葉を鵜呑みにしてしまう心情は理解できるような気がします。 嘘を重ね、焦りや苛立ち、腹の探り合いが随所に見られて非常に読んでいて疲れる作品でした。 ストーリーやトリックそのものは面白かったのですが。 ▲タイトル一覧にもどる ▲[ゴーゴー!N'sミステリー]TOPにもどる Copyright 2001-2004 (C)ひろみん All rights reserved. |