|
山村美紗さんの作品の感想文
ミステリタウンさんに書き込んでいるもののバックアップです。
蘭の愛好家や新種を発掘するオーキッド・ハンターをめぐる殺人事件が描かれている表題作と、
桜の花びらに犯人の名前を書いたダイイング・メッセージを遺して女性が殺されるというシーンから始まる「宵桜殺人事件」の2編が収録されています。
どちらもおなじみキャサリンと浜口一郎が事件を解決していきます。 どちらも殺人の動機が財産目当てで、 私としては愛憎によるものよりも圧倒的にわかりやすい動機と思います。 ただ、「宵桜」での花びらに文字を書くというのは他の短篇(タイトルを忘れました)にもあったし、単なる使い回しではなく、 「こ」と読んでいたのが実は「い」(横向きにするとこう読めますね)だったというオチはこの作品のオリジナルではありますが、 山村美紗さんのパターンというものをある程度読める人にはバレバレて物足りなかったんじゃないかと。 ▲タイトル一覧にもどる
「多すぎる容疑者」「赤ん坊は他人」「化粧した死体」「双子の棺」
そして表題作の5編からなる、おなじみ葬儀屋探偵・明子シリーズの短篇集。
このシリーズは山村美紗さんの逝去によりこれが最終となるそうで、
文庫版の開設でお嬢さんの山村紅葉さんがドラマ化にあたってのご苦労、
裏話などを書かれています。 前回このシリーズの感想を書いたとき、主人公の明子の恋人・黒沢がいつもワガママをたれていることに一人怒っていましたが、 そんな私の声を聞いてのことか(違うー)この短篇集では前編に渡って 「物分りの良い黒沢くん」になっていました。おかげで気持ちよく読むことが出来ました。 特に強く印象に残ったのは「化粧した死体」で、ネタバレギリギリですが、 亡くなった時点ではすっぴんだった遺体が納棺の時にはメイクバッチリだった!! という謎から始まるもの。動機はいつものパターンですが、 犯人側が仕組んだトリックばかりでなく偶然による殺人の発覚という面白さがありました。 ▲タイトル一覧にもどる
「検視官江夏冬子シリーズ」の短篇集。表題作、「不自然な溺死体」
「テレホンカード殺人事件」「名神高速殺人事件」「告発の手紙」の5編が収録されています。 表題作がドラマ化(といってもかなり変えられていて、原型をとどめていません) されたいたのをきっかけに読み返してみましたが、 短篇ということもあってやはりトリックに重点が置かれています。 殺人に至る動機がかなり弱いのが惜しいですが、 「不自然な溺死体」のダイイングメッセージは一見わけがわからず、 でも解いてみれば非常に簡単で無理のないもので、うまいと思います。 「テレホンカード殺人事件」のトリックと同様、 現在使えるかどうかと聞かれれば難しいところですが・・・。 ▲タイトル一覧にもどる
「二つの墓標」「見知らぬ招待客」「婚約者は死者」そして表題作の4編からなる短篇集。
これもすっかりおなじみの葬儀屋探偵・明子シリーズです。 このシリーズのパターンとして、明子が社長を務める石原葬儀社に葬儀の依頼があり、 準備を進めるうちに遺体に異状が見つかる、または疑問を持つなどで狩矢警部に相談・・・ そして事件解決というようなのが多いんですが (もちろん最初から殺人事件と断定されているものもあります)、 それはまあ小説として当然の流れなのでよしとして。 明子の恋人黒沢は、葬儀が入ってデートがキャンセルされたり時間が短くなったりすると、 そのたびにあからさまに嫌な顔をするんですけど、 普通の彼氏は仕事と俺のどっちが大事なのなんてセリフは言わないんじゃないの?と思ってみたり。 私が彼の立場なら言わないですけどね。 もちろん、明子と黒沢の関係が危ういながらも絆はしっかり・・・みたいなのを描くために不可欠なやりとりなのだとわかってはいるのですが、 このシリーズを続けてずっと読んでいて、見事に毎回そんなことばっかり黒沢が言うものですから・・・ ちょっとキレてきました(小説のキャラにキレる私もどうかと思いますが)。 次は違うシリーズのものを読みます。 ちなみにこの文庫の巻末には、西村京太郎さんが山村美紗さんの急逝にあたって書いた「二人の山村美紗」という手記が収録されているので、 不謹慎かもしれませんが「お得」な一冊と思います。 ▲タイトル一覧にもどる
おなじみ「葬儀屋探偵明子シリーズ」(赤い霊柩車シリーズ)の短篇集。
表題作、「殺しの乱数表」「偽りの遺留品」「灰色の容疑者」が収録されています。 「殺しの乱数表」はポケットベルでの数字入力がダイイングメッセージになるというパターンだったのですが、 一見「あ」を「11」と入力するアイウエオ方式で読むと思わせて実は「イロハ」方式だったというオチで騙されました。 しかも、アイウエオ方式で読むと違う人を指すという複雑なトリック。 今はポケットベルを使う人はいないと思うので使えないトリックですが、 携帯で代用してドラマにして欲しいなあと思ったりもします。 ところで巻末にはかの江川卓さんの自作自演インタビューが解説として掲載されていて、 これもまた楽しめます。 ▲タイトル一覧にもどる
赤い霊柩車シリーズというとわかりやすいですが、原作表紙では「葬儀屋探偵明子シリーズ」
と書かれています。
表題作、「消えた配偶者」「血の鎮魂歌」「死を呼ぶカーディガン」の4編が収録された短篇集です。
今作も明子が恋人の黒沢、京都府警の狩矢警部、橋口警部補と共に様々な事件を解決に導きます。世間で殺人事件が起こる確率はそう多くはないといっても、 明子のようにほんの少しの死者からのメッセージを見逃さずに真相を暴いてくれる葬儀屋さんがもっといてくれれば、 己の欲望のために人を殺める人間はもっと減るんだろうな・・とも思います。 ▲タイトル一覧にもどる
表題作、「死人が夜ピアノを弾く」「密会のアリバイ」「新幹線ジャック」「不用家族」
「小さな密室」「危険な忘れ物」の7編を収録した短編集。いずれも昭和50年代前半に執筆されたものですが、 読んでいて直接時代を感じるようなアイテムがトリックに使われているわけではなく、 むしろ今でも使えそうなものばかりです。 表題作は特にトリックの緻密さだけでなく登場人物の感情をも掘り下げて描かれていて、 主人公の焦りが手に取るように伝わってきます。 ▲タイトル一覧にもどる
今も2時間ドラマ化でシリーズになって続いている「赤い霊柩車」の最初の作品です。
表題作、「燃える棺」「黒衣の結婚式」の3編が収録されています。 タクシー会社や葬儀社を経営する父が他界し、葬儀社部門の経営を継ぐために東京に恋人を残して京都に帰ってきた明子。 葬儀社のベテラン社員秋山や事務員の良子らとドタバタながら充実した日々を過ごしている・・・という設定で、 それぞれお葬式の依頼が葬儀社に入ってから、明子が不審な点を指摘したりしてストーリーが進んでいきます。 葬儀屋さんはそんな暇はなかろーよ、というツッコミをいれつつも、 明子と恋人の黒沢の推理や行動力が楽しくてどんどん読んでしまえるシリーズです。 ▲タイトル一覧にもどる
「竜飛岬殺人事件」「向日葵は死のメッセージ」「京都観光旅行殺人事件」
「京都見合い旅行殺人事件」「長い髪の女」の5編からなる短編集。
表題作以外は既に単行本等に収録されているものです。表題作ですが、主人公(探偵役)の名前が片山由美となっていて、最初びっくりしました。 でも「不倫調査員シリーズ」としていくつか短篇で描かれていた片山由美とは別人のようです。 この作品では職業もカメラマンになっていましたし。 どの作家さんでも同じ傾向、似たような名前がよく使われるということがあるようですが、 まあストーリーに手一杯で登場人物の名前を考えるのに時間を割く余裕がないのだろうなあと思います。 話がそれましたが・・・この竜飛岬で起こった殺人事件、真犯人のトリックは交通機関を実に複雑な方法で乗り継いで作ったもので、 感心したというより「そこまでするかー」と少々呆れてしまいました。 ▲タイトル一覧にもどる
「くらやみ祭に人が死ぬ」「その日、あなたは死亡し・・・」「偽装の回路」
「三千万円の花束」「三通の遺言状」「妻たちのパスポート」の6編からなる短編集。山村美紗さんの死後に、既に単行本などに収録済みの作品ばかりを集めて刊行されたものですが、 傑作サスペンスというサブタイトル通り、どれもトリックが秀逸なものばかりです。 ほとんどの作品が恋愛がらみの動機から起こった殺人事件を軸に描かれています。 男の身勝手さ、えげつないまでの残酷さを余すところなく実にリアルに表現する山村美紗さん。 本当に惜しい方をなくしてしまったと改めて実感する一冊です。 ▲タイトル一覧にもどる
「殺意のまつり」「殺意の河」「憎しみの回路」「五〇パーセントの幸福」「教科書」
「眼には眼を!」「不用家族」の7編を収録した短編集で、
山村美紗さんが逝去された後に刊行されたものです。 表題作もラストのどんでん返しが凄いですが、「殺意のまつり」にはまいりました。 私はだまされやすくて単純なので、どんでん返しを予想などせず記述のままに作品を楽しみ、 ラストでものすごくびっくりさせられるパターンは大好きです。 ▲タイトル一覧にもどる
表題作、「哲学の小径の少女」「謎の新聞広告」「エアロビクスは死の匂い」
「十条家の惨劇」の5編からなる、キャサリンシリーズの短編集。キャサリンシリーズは本当に多く書かれているので、 少々パターンが決まってきていて飽きがきそうな部分もあったのですが、 いつものようにキャサリンや浜口の行く場所や知人の関係で殺人が起こって解決というばかりでなく、 新聞広告や哲学の小径でスケッチをする少女など、 一見なんでもないようなシーンから謎を見つけて事件に割り込んでいく(笑) キャサリンというのが読めて楽しかったです。 ▲タイトル一覧にもどる
表題作と「枝垂れ桜殺人事件」「福寿草(アドニス)の殺意」
「弟切草の秘密」の4編からなる、それぞれ花の名前をテーマにした短編集。
表題作以外はおなじみキャサリンシリーズです。 それぞれ花言葉やその花、植物が関係した出来事、 人物などをキーワードにして殺人事件の謎が解けていくというものなのですが、 探偵じゃなくて本職の警部さんが「ダイイングメッセージ」 という言葉をよく使っているのがどうも違和感があって苦手です(汗)。 実際にも使うものなのか、いつか調べてみたいなと。 山村美紗サスペンスの狩矢警部さん役の方も使ってらっしゃるんですけども。 ▲タイトル一覧にもどる
「愛の誤算」「女の罠」「人形寺殺人事件」「愛のキャンセル待ち」「偽装の回路」
「華やかな復讐」の6編からなる短編集。
すでに単行本に収録済みの作品ばかりを集めたものです。前にも別の作品のレビューで書きましたが、 私は殺人を犯す側からの視点で描かれた作品はあまり好きではないのです。 いたたまれなくなるような気持ちになるのがつらいし、 酷い目にあわされたとはいえ相手の命を奪うのに、 自分が捕まらないような小細工をするという矛盾にも疑問を感じてしまうのです・・・ などと言っていたらミステリーなんて読めないんですが(汗) この短編集にはそうした作品が収録されているのですが、 愚かであっても哀しい女たちを立て続けに読んで少し疲れました・・・。 ▲タイトル一覧にもどる
ドラマ化もされている、京都府警の検視官江夏冬子シリーズの短編集。
「少女は密室で死んだ」「偽装の殺人現場」「消えた配偶者」「水仙の花言葉は死」
「几帳面な殺人者」「溺れた女」「首のない死体」「骨の証言」の8編が収録されています。冒頭の「少女は密室で死んだ」では、京都府警に冬子が赴任してきたシーンが描かれているのですが、 その冬子を形容する言葉が「メロドラマの主人公のような美人」というのには、 時代の流れという差し引きがあってもさすがに笑ってしまいました。メロドラマって! 冬子のシリーズには、相棒として橋口部長刑事(まだ警部補になってないんですね) が登場してコンビで活躍するのですが、 狩矢警部は登場しないのがちょっと物足りないといえばそうでしょうか。 でも小説の中に警察関係者ばかりが登場する設定というのも、 それはそれでまたうっとうしいかもしれないですね。 ▲タイトル一覧にもどる
表題作、「紅梅屋敷の殺人」「秋海棠の殺人」「薔薇のアリバイ」
「スターガザールの殺人」の5編からなる短編集。
表題作以外はおなじみキャサリンシリーズで、
全編何かしらの花をテーマに描かれていて勉強にもなります。 表題作以外はそのトリックに重点がおかれていて、 事件に至るまでの人間関係などは比較的シンプルでした。が、表題作はなかなか複雑で、 いつもは誰が犯人かは大体早い段階で見当がつくのですが、なかなかわかりませんでした。 花の特性などをトリック崩しに利用するという女性ならではの視点も面白いです。 ▲タイトル一覧にもどる
「京絵皿の秘密」「呪われた密室」表題作、「針供養殺人事件」「割り込んだ殺人」
「京菓子殺人事件」の6編を収録した短編集。全てキャサリンシリーズです。山村美紗さんの短篇は、長編に比べて気軽に読めるものの重みもやはり軽くなるというような面が否めないと思うのですが、 今回の短編集は短い中に高度なトリックが凝縮されていて面白かったと思います。 表題作と「京菓子殺人事件」はどちらも若い女性が真犯人なのですが (ネタバレにはならないと思います(^^;))、その事情や動機には天地ほどの差があり、 その対比も興味深かったです。 ▲タイトル一覧にもどる
初期の短篇集。「殺意の河」「血の鎖」「歪んだ相似形」「憎しみの回路」「ストリーカーが死んだ」「死体はクーラーが好き」の6編が収録されています。 1976年に単行本の初版が刊行されたということで、決して若くはない私でもその凄さが理解できなかった「ストリーカーが死んだ」。裸で徘徊することをストリーカーと当時呼んだようで流行ったということなのですが、信じられない気持ちです。山村美紗さんは流行りものをいち早く取り入れてトリックに組み込むことに才能を発揮しておられたようなので、これが理解できる年代ならもっと面白く推理しながら読めたんだろうなあと思います。 他の作品はどれも、後期のシリーズものには残念ながらあまり感じられなかったスパイスがぴりりと効いていて、本当に山村美紗さんが得意だったのはこうした短篇なのかなと思ってしまいます。 ▲タイトル一覧にもどる
西村京太郎氏、斉藤栄氏、小林久三氏との共著。
2編のミステリーを問題編、解答編に分けて別の作家さんが執筆するリレー・ミステリー。「京都旅行殺人事件」の問題編1を西村京太郎氏、2と解答編を山村美紗氏、「悪魔の賭」の問題編1を斉藤栄氏、2を山村美紗氏、解答編を小林久三氏が執筆。 再読なので読み進めるうちに解答を思い出してしまい、最初ほどの新鮮さはなかったものの、一人で書いたかのような文体の統一感、内容のズレのなさは当たり前といえばそこまでですが、さすがだなあと思います。あまりリレーミステリーを読んだことはないのですが、解説で紹介されていた沢山のリレーものを読んでみたいと思いました。 ▲タイトル一覧にもどる
「割り込んだ殺人」「一流ブランド殺人事件」「京都観光旅行殺人事件」「京都白梅寺殺人事件」「華やかな復讐」そして表題作を収録した短篇集。表題作では新聞の売買掲示板をきっかけにして起こった殺人事件を、他の多くの作品では狩矢警部のアシストに甘んじている橋口警部補がガールフレンド(この呼び方も今は使いませんね、懐かしいです)と共に考え、解決します。守秘義務とかいいのかな?と突っ込んでいたら山村美紗さんのミステリーは読めないのですが、ガールフレンドの女性もすこぶるカンがよくて、このコンビでシリーズ化すればよかったのになと思いました。 ▲タイトル一覧にもどる ▲[ゴーゴー!N'sミステリー]TOPにもどる Copyright 2001-2004 (C)ひろみん All rights reserved. |